コラム(詳細)

第192回「地価公示50年(その4)」

2020.09/10

経済レポート2782号[令和2年4月21日]掲載

  1. はじめに  地価公示は、一般の土地の取引価格に対して指標を与えるなどし、もって適正な地価の形成に寄与することを目的として、昭和45年にスタート。平成31年には50回を迎えました。そこで、シリーズで地価公示をとり上げています
       今回は、令和2年3月19日に発表された令和2年地価公示をとり上げます
  2. 全国の動向   全国の用途別の平均変動率は、住宅地+0.8%、商業地+3.1%、工業地+1.8%と、住宅地は3年連続、商業地は5年連続、工業地は4年連続していずれも上昇しており、その上昇幅も拡大しています。特に、地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)では、商業地の上昇率が+11.3%と2桁に達する等さらに上昇基調を強めており、地方四市を除いた地域でも、全用途平均・商業地は平成4年以来28年ぶりに上昇に転じ、住宅地は平成8年から続いた下落から横ばいとなっています。ただ、地方圏では地場産業の低迷や人口減等で地価の下落に歯止めがかからない地点もあり、二極化も一段と進んでいます。
       地価上昇の背景には、景気回復、雇用・所得環境の改善、低金利環境の下で、交通利便性等に優れた地域を中心に住宅需要が堅調であること、オフィス市場の活況、観光客増加による店舗・ホテル需要の高まりや再開発等の進展を背景に需要が堅調であること等があげられ、リゾート地等にも上昇地点が広がる一方で、東京銀座四丁目の地価公示地点では1㎡当たり5,770万円と5年連続して過去最高を更新したものの、その上昇幅は+0.9%(前年+3.1%、前々年+9.9%、前々々年+25.9%)と4年連続して鈍化しており、東京都心部の一等地で価格の一服感が出てきたことは地価の潮目の変化を表しているとの見方もあります
  3. 広島の動向 (1)広島県
       広島県の用途別の平均変動率は、住宅地+1.3%(前年+0.9%)、商業地+3.9%(前年+2.7%)、工業地+2.2%(前年+1.6%)と全ての用途で上昇しており、上昇基調も強まっています。平成30年7月豪雨の被災地では、前回地価公示で、坂町小屋浦の地点は▲14.0%と住宅地としては全国第4位、呉市安浦町の地点は▲11.0%と商業地では全国トップの下落率となりましたが、今回の地価公示では、坂町小屋浦の地点は▲3.6%、呉市安浦町の地点は▲4.2%と変動率は災害前の水準に戻りつつあります。全体的には、広島市中心部、開発が進む地域、利便性の良い住宅地・工業地等の競争力のある地域を中心に、さらに上昇基調を強めているものの、一方で、山間部や島しょ部では下落が続いています
    (2)広島市
       広島市については、住宅地は前年の+2.7%から+3.1%と6年連続して上昇、商業地は前年の+5.8%から+7.7%と7年連続して上昇しており、札幌、仙台、福岡とともにさらに上昇基調を強めています
       住宅地は、全区で上昇を示し、全189地点のうち、156地点が上昇。上昇率のトップは牛田中1丁目の地点で+13.4%。商業地は、全区で上昇を示し、地点別でも安佐北区の1地点が横ばいである以外は全ての地点で上昇。価格のトップは、11年連続で「広島市中区八丁堀15の8」。355万円で+8.2%の上昇。上昇率のトップは、通称「エキキタ」と呼ばれる再開発が進んだ広島駅北口エリアの地点で+20.0%、広島県内で+20%以上となるのはバブル期の平成3年以来のこととなりました
  4. 最後に  この様に令和2年1月1日時点の地価公示は地価上昇の底堅さを示したものの、令和2年2月からの新型コロナウイルス感染拡大を受けて、当地においても地価上昇の牽引役の1つであったホテル用地需要やインバウンド需要を中心とする様々な影響が懸念されており、地価の今後の先行きには不透明感も漂っています
       次回は、アーカイブ!地価公示で広島の地価を振り返ります
       
     

以上

 

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