コラム(詳細)

第94回「収益還元法(その10)」

2012.02/28

経済レポート2390号[平成24年2月28日]掲載

  • 収益還元法シリーズの10回目です。今回まで、直接還元法、DCF法、有期還元法の設例をとり上げてきました。今までの収益還元法は賃ビル等を前提とし、家賃収入に基づくものであり、いわば家賃(賃料)還元法とでもいうべきものでした。今回は、趣向を変えて事業収益に基づく収益還元法を試算してみます。

    設例

  • 【解答】

    (1)当該ホテルの純収益は次のとおり16と求められます。

    当該ホテルの純収益

    (2)事業収益に基づく収益価格

    事業収益に基づく収益価格

  • (補足)

    以上は、極めて単純化したケーススタディですが、実際には、マネジメントフィーや備品の取扱い等複雑で留意すべき事項が多くあります。また、昨今は証券化の進展等を背景に「売上高等からみた負担可能賃料」を査定しこの賃料を基に収益価格を求める場合もあります。

    なお、工場財団の評価にあたって、工場の企業収益を基に収益還元法を適用することもあります。ただ、一社一工場の企業の場合はまだしも、工場が複数に及び本社部門が別の独立した場所にある等のケースでは企業収益の配分が難しい等の課題があります。

以上