コラム(詳細)

第125回「相続と不動産(その1)」

2015.02/12

経済レポート2514号[平成26年9月23日]掲載

  1. はじめに  平成27年から、相続税の基礎控除額(非課税枠)が引き下げられることに加え、2億円超の資産を相続した場合の税率がアップします。死亡した人(被相続人)に対して相続税が課せられる割合(相続税を実際に納めた方の割合)は、現在4%程度に止まりますが、今回の改正に伴い6~8%程度に上昇するのではないかと見込まれています。
    国税庁が発表した最新の資料によると、相続財産(平成24年分)のうち土地は45.9%、家屋等は5.3%であり、不動産が最も多く過半を占めます。(ピークの平成6年分では実に7割超)
    今回から「相続と不動産」についてとりあげます。
  2. 相続対策とは  一般に相続対策というと、節税、納税といった相続税に関する対策(税対策)をイメージされる方が多いのではないでしょうか。もちろん税の対策も重要ですが、分配をめぐる争い事等いわゆる争族対策についても同時に考えておく必要があります。
    不動産の最大の弱点は、価格がわかりにくいこと、流動性(キャッシュ化)に劣ること、分配(分割)しにくいことです。当然、相続対策上もこれらが大きなネックとなってきます。
  3. 税務評価(価格について)  相続税法の第22条に「財産の価額は当該財産の取得の時における時価による」と一般的な規定が置かれていますが、具体的な不動産評価の方法は、実務上は財産評価基本通達によって計算されているのが実情です。(これに対して評価の方法は通達ではなく法定化すべきであるという議論もあります。)
    前面の路線価(地価公示価格の80%水準)を基礎に通達に拠る画地計算等(間口、奥行の長さ等による調整等)を行って評価額を求めます。不動産の価格は多種多様な要因によって形成されそれらの分析も一律にはいかないこと等から、ややもすれば画一的な現行の評価方法については批判もある一方で、多くの裁判例では、租税負担の公平さ、評価の簡便さ、徴税費用の節減等の見地からみて合理的であるともされています。
    このように現状の税務の評価方法は、必ずしもマーケットの考え方と一致するとは限りません。特に次の様な場合には開差が発生する可能性が高く、不動産鑑定士による鑑定評価を実施することも有効と考えられます。
    ・時価の変動が著しい場合
    ・需給ギャップの著しい物件
    ・需要が乏しいマーケット環境にある物件
    ・道路がない(又は建築基準法上の道路に接面しない)土地
    ・間口の狭い土地
    ・市街化調整区域内の土地
    ・極端に高低差がある土地
    ・凹凸のある土地
    ・騒音、振動、日照阻害、臭気のある土地
    ・山林
    ・面積の大きい土地
    ・著しい不整形地
  4. 最後に  適正な実勢価格を把握することによって、税の申告に利用できたり、相続人間の争いを回避できる可能性もあります。
    次回は、流動性(キャッシュ化)に劣ることについてとりあげます。

以上

 

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