コラム(詳細)

第142回「証券化不動産の評価(その2)」

2016.07/11

経済レポート2581号[平成28年2月23日]掲載

  1. はじめに  シリーズで、「証券化不動産の評価」についてとりあげています。前回は証券化の種類やその対象等を概説しましたが、今回は評価にあたっての基本的な考え方(評価の基準)に言及します。
  2. 基本的な考え方(評価の基準)【一般的な不動産の評価の場合】
    不動産鑑定士が鑑定評価を行う場合、評価の統一的な基準である不動産鑑定評価基準(国土交通省事務次官通知)に則って鑑定評価を行うことが原則です。(なお、例外的に一定の場合には、この基準に則らない価格等調査を行うこともできるとされています。)
    【証券化対象不動産の評価の場合】
    上記の不動産鑑定評価基準は、総論9章、各論3章で構成されていますが、証券化の場合は各論第3章に「証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価」の規定が設けられており、この各論第3章の定めるところに従って評価を行わなければならないとされています。
    この各論第3章は、証券化の拡大や投資家等に重大な影響を及ぼす評価であること等に鑑み平成19年の改正によって設けられたものです。
  3. 各論第3章の規定  証券化対象不動産の評価を行う場合に従わなければならない、この各論第3章の主な内容は次のとおりとなっています。
    ①具体的な適用範囲、責務等
    ②対象不動産の確認
    内覧の実施、権利関係、公法上の規制、遵法性等のほかにアスベスト等の有害物質、土壌汚染、耐震性等についても十分な確認を行う。
    ③エンジニアリング・レポートは原則として取得する等の取扱いの明確化
    ④DCF法の収益費用項目の統一と適用過程の明確化
  4. 最後に  この各論第3章は、「収益価格を求めるに当たっては、DCF法を適用しなければならない。この場合において、併せて直接還元法を適用することにより検証を行うことが適切である。」と規定すると同時に、DCF法の適用過程等の明確化も細かく定めています。
    次回は、この明確化が図られているDCF法の適用について詳しくとりあげます。

以上

 

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