コラム(詳細)

第152回「耐用年数」

2017.05/10

経済レポート2622号[平成28年12月20日]掲載

  1. はじめに  近年、中古の戸建建物の「一律に築後20~25年で市場価値をゼロとする取引慣行」を改め、個別の住宅本来の価値やリフォームの実施の有無等をも評価に適切に反映させ、中古住宅市場を活性化させようとする方向性が打ち出されています。「いいものを作って、きちんと手入れして、長く使う」社会に移行することの環境整備の一環として政府も力を入れています。ちなみに、イメージアップの観点から、最近は「中古」という言葉にかえて「既存」を使うことが多い様です。(中古住宅→既存住宅)
    今回は、既存住宅において重要なファクターである「耐用年数」についてとりあげます。
  2. 耐用年数 一般に耐用年数というと、法定耐用年数をイメージされることが多いのではないでしょうか。これは税務上の概念で、例えば住宅であれば木造は22年、鉄筋コンクリート造は47年など、構造や用途に応じて画一的に定められています。
    ところが、不動産の評価上、重視・採用されているのは、経済的残存耐用年数という考え方であり、発想が全く異なります。
  3. 経済的残存耐用年数  経済的残存耐用年数とは、「価格時点において、対象不動産の用途や利用状況に即し、物理的要因及び機能的要因に照らした劣化の程度並びに経済的要因に照らした市場競争力の程度に応じてその効用が十分に持続すると考えられる期間をいう」と定義されています。要するに物理的ではなく、経済的にあと何年価値があるのかということです。
    この経済的残存耐用年数は、大規模修繕やリフォームの有無等によっても変動します。
  4. 最後に  経済的残存耐用年数の長短は、融資を利用する場合の融資返済期間の設定に関しても影響があると思われます。また、特に共同住宅等賃貸に供されている物件については、入居状況やその賃料水準等についても考慮する必要があり判定がより複雑になります。

以上

 

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