第8回「一物四価」
2004.10/26
経済レポート2037号[平成16年10月26日号]掲載
9月22日、都道府県地価調査が発表されました。全国平均で見ると地価は引き続き下落していますが、東京、大阪、名古屋、札幌、福岡では上昇の地点があり、広島市においても中心部の地価は下落幅が縮小するなど、変化の兆しが明らかとなりました。
不動産の価格は、一物四価とも一物五価ともいわれることがありますが、これは今回の都道府県地価調査の価格をはじめとするいわゆる公的評価といわれるものに加えて、実勢価格(時価)といった価格の表し方からくるものです。そこで、今回は、公的評価について整理してみます。
- 公示価格
公示価格は、一般の土地の取引価格に対して指標を与えることなどを目的として、毎年1月1日時点の更地価格を国土交通省土地鑑定委員会が公表するもので、全国で約3万地点が設定されており、土地収用や公共事業用地取得の補償額の算定の規準としても利用されています。
例年、3月下旬に発表され、新聞等で大きく取り上げられます。 - 都道府県地価調査価格
上記の地価公示を補完するもので、毎年7月1日時点の更地価格を都道府県が調査し、9月下旬に発表します。価格の判定基準等は地価公示とほぼ同様であり、6ヶ月ごとに国と県が調べた地価が公表されると理解しておけばよいと思います。 - 相続税路線価
元来、相続税などの税額算定の基準として土地価格を示したものですが、毎年、全国ベースで公表されることや市街地については路線(道路)に沿って細かく価格が表示されていることから、実際の土地取引にあたっても参考にされるなど関心が高まっています。「ロセンカ・バリュー」は国際語との評もあります(笑)
毎年1月1日時点の価格が、8月上旬頃に国税庁より発表され、その価格は上記の公示価格及び都道府県地価調査価格の80%を目安に決定されています。 - 固定資産税評価額
固定資産税、不動産取得税、登録免許税など不動産関連の税を課税する際の基礎となる評価額です。全国のほとんど全ての土地が対象となっており、市町村長が決定します。
この評価は3年ごとに、1月1日時点を基準として評価替え(次回は平成18年)が行われますが、その間でも地価の下落傾向が続く場合は修正が加えられます。原則として本人、借地人、借家人のみが知ることができ、その価格は公示価格及び都道府県地価調査価格の70%を目安に決定されています。《公的評価一覧表》
– 地価公示 都道府県地価調査価格 相続税路線価 固定資産税評価額 実施機関 国土交通省 都道府県 国税局 市町村 基準日 毎年1月1日 毎年7月1日 毎年1月1日 3年毎、原則として基準年度の前年の1月1日 公表時期 3月下旬 9月下旬 8月下旬 – 入手方法 官報、新聞、役場国土交通省HP等書籍もある 同左 国税局、税務署、国税庁HP等書籍もある – 評価水準 100 100 80 70
以上