第58回「CRE戦略(その16)」
2009.01/27
経済レポート2241号[平成21年1月27日]掲載
- はじめに
会計基準の国際的なコンバージェンスに向けた取組みの一環として不動産の時価開示等の必要性、その方法等が審議されてきましたが、この度「投資不動産(賃貸等不動産)の時価開示に関する会計基準」が企業会計基準委員会から公表されました。平成22年3月31日以後終了する事業年度の年度末の財務諸表から適用され、時価等を注記することとなりました。
- 投資不動産(賃貸等不動産)とは
投資不動産(賃貸等不動産)とは、棚卸資産以外で、賃貸収益又はキャピタル・ゲインの獲得を目的として保有している不動産を主にいいます。したがって、製造所や販売所の用に供されているものや、自己使用不動産、販売用不動産は含まれません。
- 注記事項
投資不動産(賃貸等不動産)を保有している場合は、総額に重度性が乏しい場合を除いて次の事項を注記します。
1 賃貸等不動産の概要
内容、種類、場所等を記載2 賃貸等不動産の貸借対照表計上額及び期中における主な変動
原則として取得原価から減価償却及び減損を控除した金額3 賃貸等不動産の当期末における時価及びその算定方法
時価とは、通常、観察可能な市場価格に基づく価額をいい、市場価格が観察できない場合には合理的に算定された価額をいう(会計基準第4項(1) )。賃貸等不動産に関する合理的に算定された価額は、「不動産鑑定評価基準」(国土交通省)による方法又は類似の方法に基づいて算定します。4 賃貸等不動産に関する損益
収益、費用等を記載 - 最後に
これによって、投資不動産(賃貸等不動産)の時価と損益状況が開示されることとなります。時価の開示によって含み損益が明らかになることの影響は大きいの ではないでしょうか?さらに、投資不動産(賃貸等不動産)の損益状況も明らかになることから収益性や利回りがはたしてステークホルダーが期待する水準をク リアしているのか?等、投資不動産(賃貸等不動産)の保有の意味を問われる可能性もあります。
以上