コラム(詳細)

第141回「証券化不動産の評価(その1)」

2016.06/14

経済レポート2577号[平成28年1月26日]掲載

  1. はじめに  国土交通省が実施した「不動産証券化の実態調査」によると、平成26年度の証券化対象不動産の取得額は約5.5兆円、5年連続の増加で前年度比約1.25倍となっています。額そのものが増大していると同時に対象不動産の拡大・多様化も進んでいます。そこで今回から、シリーズで「証券化不動産の評価」についてとりあげます。
  2. 不動産証券化の種類について  日本において不動産証券化スキームが導入された当時は、企業の財務体質の改善を目的としたいわゆるオフバランス化であり、はじめに資産ありきの証券化(資産流動化型)として活用されてきました。
    一方、はじめに資金ありきの証券化(資産運用型)といわれるものは、複数の投資家から集めた資金をファンド化し、それを不動産に投資して得た収益を投資家に分配するもので、不動産投資信託等が代表格です。現在では、Jリートの上場投資法人は52銘柄、時価総額は14兆円を超え、個人投資家へも広がっており、今では、証券化といえばこの様な運用型が中心となっています。
    なお、不動産開発の資金調達を目的とした開発型といわれるものもあります。
  3. 証券化される不動産について  運用型の証券化については、オフィスや共同住宅といった典型的な賃貸向け不動産から、今やショッピングセンターやホテル、ヘルスケア施設にまでその対象が拡大しており、平成26年度に証券化されたものを資産額ベースでみると、オフィス45.5%、住宅15.3%、商業施設14.8%、倉庫10.7%、ホテル・旅館8.2%、ヘルスケア施設2.3%、複合施設1.3%となっています。
  4. 最後に  証券化にあたっては、ある程度の資産額(ボリューム)が要求されるため、地方においては、まだまだ活用事例は少ないのではないでしょうか。
    証券化される不動産は投資対象ですから、キャッシュフローから算出される収益価格を重視して評価が行われます。次回は、具体的な評価方法についてとりあげます。

以上

 

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