コラム(詳細)

第163回「借地非訟」

2018.04/13

経済レポート2666号[平成29年11月21日]掲載

  1. はじめに  借地上の建物を「売却したい」、「増改築したい」…だけど地主さんが「許可してくれない」、「条件が折り合わない」など当事者の話し合いによって合意できない場合、借地非訟(しゃくちひしょう)手続を利用する方法もあります。
  2. 借地非訟手続  借地非訟手続とは、平たくいうと、裁判所に申立を行って、裁判所が相当と認めれば、地主さんの承諾に代わる許可の裁判を受けることができる手続です。(裁判所では、借地非訟事件といいます。)
    借地非訟事件として取扱うことができるものは次の5種類です。
  3. 鑑定委員会制度  裁判所は、その手続のなかで、事件ごとに、弁護士、不動産鑑定士及び有識者(建築士を含む。)から当該事件の特色を踏まえて3人以上の鑑定委員を指定し、公正な立場からの専門的かつ客観的な意見を聴きます。(これを鑑定委員会制度といいます。)
    鑑定委員会は、必要な資料の収集をした上で、裁判所から意見を求められた事項について、評議した結果を「意見書」として、裁判所に提出することになっています。
  4. 最後に  裁判所は申立を認める場合、地主さんの負担が増えることになるため、借地権者に対して一定の金銭の支払いを命じることが少なくありません。(一般に条件変更承諾料、建替承諾料、名義変更料などといわれています。)
    また、裁判所は、適宜、当事者に和解による解決を勧めることがあります。借地関係は、継続的な信頼関係に立脚するものですから、なるべく円満な解決が望ましいとする考え方からです。

以上

 

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