第165回「地積規模の大きな宅地」
2018.06/15
経済レポート2674号[平成30年1月30日]掲載
- はじめに 規模の大きい土地のことは、従来、大規模画地、面大地、地積過大地等とよばれていました。ところが、平成6年の評価通達によって、広大地という言葉が税務上登場し、近年、単に地積の大きい土地のことを広大地とよぶ者もあらわれる等、税務上の定義とは関係なく混乱して使用されるケースも目立っていました。
こうしたなか、今般の税制改正によって、平成30年1月1日以降、相続税の評価では、広大地が廃止され、新たに「地積規模の大きな宅地」が新設され、適用されることとなりました。 - 広大地とは 広大地に該当すると、単に地積のみを基準として最大で65%もの評価減が可能となりますが、次の様な問題点も指摘されていて、課税当局と争いとなる事例も多発していました。
・まず、そもそも広大地に該当するか否かの判定が難しい。
・次に、広大地に該当する場合、単に地積のみを基準とした算式によって
減価率が決定する。(形状の良し悪しや、奥行の長さ等が評価上反映されない。) - 「広大地」から「地積規模の大きな宅地」へ この様な経緯から、今般の改正では、対象となる宅地を明確化すると同時に算式を変更しています。
【対象となる宅地】
・地積基準…三大都市圏500㎡以上、その他1,000㎡以上
・地区区分…普通住宅地区、普通商業・併用住宅地区に限定
・容積率400%以上の土地は適用されない(東京23区は300%)等の
除外規定あり。【算式】
・改正前…広大地の評価額=地積×路線価額×広大地補正率
・改正後…地積規模の大きな宅地の評価額
=路線価額×各種補正率×規模格差補正率×地積 - 最後に 今般の改正によって適用できる宅地が形式基準によって判定されることとなったため適用できるか否かの争いはなくなります。(ただ、新通達によらず鑑定評価書で個別に争うなら別です。)
多くの土地は総じて増税と思われますが、逆に、今まで広大地の対象とならなかった羊羹切りの土地等が新基準によって補正率の適用が可能となるケースも見込まれます。
以上
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