コラム(詳細)

第9回「正常価格と限定価格」

2004.11/30

経済レポート2042号[平成16年11月30日号]掲載

  1. 価格の種類

    前回、一物四価とも一物五価ともいわれる地価についてとりあげましたが、価格概念そのものにもバリエーションがあり、評価の目的や条件によっては評価額が大きく異なることもあります。
    価格の種類としては、正常価格、限定価格、特定価格、特殊価格があり、賃料にも正常賃料、限定賃料、継続賃料があります。評価の目的や条件に即してどの価格や賃料を求めるのかを明確にすることが必要です。そこで、今回は、正常価格と限定価格についてとりあげます。

  2. 正常価格

    正常価格とは、「市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう」と定義されています。学問上は細かなことがいわれていますが、誤解を恐れずにいえば、いわゆる通常売買するときの時価と解釈してよいと思います。
    なお、かつては、正常価格とは「あるべき価格」なのか「ある価格(あるがままの価格)」なのかという議論がありましたが、現在では、社会経済情勢の実勢・実態を所与とする「ある価格(あるがままの価格)」であることが、この定義によって明確化されています。

  3. 限定価格

    一方、限定価格とは、「市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産と併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう」と定義されています。
    難しそうな定義ですので、具体例をあげてみます。

    具体例の地図

    Aの土地は正常価格ベースの評価で100万円とします。ところがBの土地の所有者がA地を購入する場合、A地を購入することにより既存のB地についても角地の恩恵を受けることとなります。したがって、100万円以上の値付けを行っても十分にペイできると考えられます。この様に特定の当事者間において成立する価格を限定価格といいます。
    このほかにも、借地権者が底地の併合を目的として売買するケースや経済合理性に反するような分割を行って売買するケース等があります。

以上