コラム(詳細)

第34回「賃料評価(その3)…賃貸事例比較法」

2007.01/30

経済レポート2145号[平成19年1月30日]掲載

  1. はじめに

    本件の賃貸事例比較法は新規の賃料を求める場合に適用される1手法です(この手法による試算賃料を比準賃料といいます)。この手法は対象不動産と類似の不動産の賃貸借等の事例と比較して求めることから、実際のマーケットを反映したものであるといえます。

  2. 事例の収集及び選択

    一般の市場において生起した賃貸借等の事例を基礎として比較の手法を適用することから、できるだけ価格時点に近く新規に締結されたもので、立地条件や用途、構造、規模、契約内容等に類似性のある事例を複数選択する必要があります。

  3. 適用例
    [1] 事例の実際の
    実質賃料
    ・・・ 実際の支払賃料に共益費のうち実質的に賃料相当額に含まれる部分や敷金の運用益等を加算して実質的な賃料を求めこれを出発点とします。

     

    ×

    [2] 事情補正 ・・・ 契約に当たって諸事情があると認められる場合や、共用部分込み・一棟貸し等の固有の条件がある場合に補正する。

     

    ×

    [3] 時点修正 ・・・ 事例の時点と評価時点とのタイムラグを修正する。

     

    ×

    [4] 標準化
    補正
    ・・・ 採用した事例の当該建物内の基準階における標準的な賃料への補正であり、階層別・位置別効用比、賃貸規模による格差、形状・開口部の差異等を基に補正する。

     

    ×

    [5] 建物格差
    修正
    ・・・ 対象建物と採用事例建物の一棟全体の建物格差修正であり、築後経過年数、規模、構造、品等(設備・仕様)等を基に修正する。

     

    ×

    [6] 地域要因
    の比較
    ・・・ 街路条件、交通・接近条件、環境条件等の賃料形成要因を基に修正する。

     

    ×

    [7] 基準階格
    差修正
    ・・・ 大規模貸室、ワンルームタイプ、北向き開口部等の個別的要因により、対象建物の基準階賃料と採用事例建物の基準階賃料に格差が生じている場合に修正する。

     

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    [8] 試算実質賃料

以上