コラム(詳細)

第35回「賃料評価(その4)…収益分析法」

2007.02/27

経済レポート2149号[平成19年2月27日]掲載

  1. はじめに

    収益分析法は、積算法、賃貸事例比較法と並んで、新規の賃料を求める場合に適用される手法です(この手法による試算賃料を収益賃料といいます)。基本的に、企業経営に基づく収益(注.不動産賃貸経営事業に基づくものではない)に着目して求めます。積算法は元本価値(不動産価値)を反映したものであり、賃貸事例比較法は市場を反映したものであるのに対して、本件の収益分析法は賃借人の支払可能能力を反映したものであると位置づけられます。
    なお、近時、収益分析法は新規賃料ではなく継続賃料を求める場合に適用すべきであるとか、新規賃料と継続賃料のどちらでも適用できるとする考えなどがあります。

  2. 算式

    企業経営に基づく総収益を分析して、まず収益純賃料を求め、次にこれに賃貸借にあたって必要となる必要諸経費等を加算して査定します。
    なお、売上高に対して○%といったように、簡便的に求められる場合もあります。
    算式

    (1) 収益純賃料
    不動産の鑑定評価における純収益(収益純賃料)とは、不動産に帰属する適正な収益をいい、収益目的のために用いられている不動産とこれに関与する資本(不動産に化体されているものを除く)、労働及び経営(組織)の諸要素の結合によって生ずる総収益から、資本(不動産に化体されているものを除く)、労働及び経営(組織)の総収益に対する貢献度に応じた分配分を控除した残余の部分をいいます。
    事業収益に基づく不動産に帰属する純収益(収益純賃料)は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費並びに正常運転資金の利息相当額その他純収益を求めるために控除することを必要とする額を控除して求めます。
    なお、「その他必要額」には、不動産に化体されていない機械、設備等の資本の部分に対する配当、資本利子及び経営に帰属する収益としての役員賞与金等のほか、「のれん」の価値を認め得るような場合は、これに帰属する収益も含まれます。
    (2) 必要諸経費
    賃貸借にあたって必要となる必要諸経費等には、減価償却費、維持管理費、公租公課、損害保険料、貸倒れ準備費及び空室等による損失相当額があります。

以上