コラム(詳細)

第63回「不動産リスク(その5)」

2009.06/23

経済レポート2261号[平成21年6月23日]掲載

  1. はじめに
    シリーズで不動産リスクを連載してきました。特に、環境リスクに多くの頁を割きました。環境問題はリスクとして捉えられる一方で、これをビジネスチャンスとみる動きも盛んです。また、最近では、環境に配慮した不動産をプラス評価しようとする(不動産の価値に反映させようとする)考え方も現れています。
    本年4月に国土審議会から中間報告された土地政策の中長期ビジョン(以下報告書という)のなかにもこの環境問題に関連することが多くとりあげられています。そこで今回はこの報告書を中心に今後の土地政策の観点から環境問題をみてみましょう。
  2. 不動産のリスクに関する情報

    報告書では、不動産に関する情報の整備・提供の推進のなかで今後の政策展開として、不動産のリスク情報について次のとおり触れられています。

    [1] 価格情報だけでなく、環境性能や安全性(土壌汚染、改変・災害履歴等)などに関する情報の整備・提供。
    [2] 環境性能の評価基準と評価に必要な情報提供システムの構築。
    [3] 人工改変地の改変履歴や災害履歴など、土地の安全性に関する情報を収集・整備し一般に提供。
    [4]

    土壌汚染の所在や実態に関する情報の整備・提供。土壌汚染に関する国民の正確な知識と理解を求め、完全浄化だけでない土地利用の促進。
    (備考)

    国土交通省では、「土地の有効利用のための土壌汚染情報等に関する検討会」を開催しており札幌市西区及び千葉県市川市を対象に土壌汚染要調査マップを試行的に作成する予定としています。

  3. 新しい不動産価値の創出
    新たな政策課題と対応として[1]守るべき不動産価値の保全(不動産の適正管理等の推進)と[2]新しい不動産価値の創出の2つがあげられています。
    新しい不動産価値とは、環境、安全・安心、景観等に係る価値で、例えば緊急課題であるCO2削減への取組み、建築物総合環境性能評価(CASBEE)の利用、災害・防犯安全性の状況、景観や美しい街並みを意識したまちづくり等があります。土地政策の観点からは、今後、環境、安全・安心、景観をキーワードに新しい不動産価値として市場に取り込んでいくためのインセンティブづくりが進むものと予測されます。

以上