コラム(詳細)

第71回「鑑定評価制度の見直し」

2010.03/23

経済レポート2297号[平成22年3月23日]掲載

  1. 不動産の鑑定評価とは

      不動産の鑑定評価とは、不動産の経済価値を判定し、その結果を価額に表示することをいいます(土壌汚染の化学的な調査や測量等は含まれません)。不動産鑑定士が鑑定評価を行う場合、不動産鑑定評価基準(平成14年7月3日国土交通省事務次官通知)に則って行われることが原則ですが、依頼者のニーズによっては、簡易鑑定、調査書、意見書等と称して簡易的な評価が行われることがあり、このあたりの峻別やルールはいままで必ずしも明確ではありませんでした。
    そこで今般国土交通省により「価格等調査ガイドライン」が策定され、平成22年1月1日から施行されています。

  2. 価格等調査ガイドライン

     「価格等調査ガイドライン」の詳細はここでは説明しきれませんが、鑑定評価基準に則った鑑定評価を行うことを原則とし、例外(鑑定評価基準に則らない評価)が是認されるのは、依頼目的や利用者の範囲等からみて妥当と判断される場合に限られると規定されました。
    また、不動産鑑定評価基準に則らない評価を行った場合には、則った評価と結果が異なる可能性がある旨の記載等が義務付けられることとなりました。

  3. 簡易な評価が可能なもの

     不動産鑑定評価基準に則った評価を行うことを必ずしも求めないもの(簡易的な評価でもO.Kなもの)は次表のいずれかに該当することが必要となります。

    項   目 備   考
    (1)内部使用にとどまるとき 内部意思決定の参考とするもの等
    (開示等しないこと)
    (2)公表等において大きな影響を与えないとき 証券化、現物出資等の重要なものは×、
    企業会計上で
    重要性が乏しいものは○等
    (3)すべての開示・提出先の承諾が得られたとき 取引予定先との打合せの参考資料との位置づけに止まり概ねの価格水準把握のため等で承諾があるとき等
    (4)鑑定評価基準に則ることができないとき 未完成物件、開発等の許可未定、土壌汚染・建物有害物質・地下埋設物等未調査、早期売却等の評価等
    (5)合理的理由があるとき 変化が軽微な場合の再評価、財務諸表ガイドライン・証券化ガイドラインに従うもの等

    (備考)
    「価格等調査ガイドライン」は国土交通省のホームページで閲覧できます。

以上