コラム(詳細)

第72回「EBITDA」

2010.04/27

経済レポート2302号[平成22年4月27日・5月4日]掲載

  1. はじめに不動産の評価にあたって収益還元法重視がいわれて久しい。共同住宅やオフィスビル等の賃貸用不動産の評価の際に適用される収益還元法の純収益は、家賃から賃貸経営に係る費用等を控除して算出されます。いわば家賃(賃料)還元法と言い換えることもできます。
    ところで、ホテル、ゴルフ場、レジャー施設、ヘルスケア施設等の事業用不動産(オペレーショナルアセット)については、稼働中の事業の収益性に基づいて収益還元法を適用することが一般的です。この場合、有力な指標となるのが「EBITDA」です。
  2. EBITDAEBITDAとは、Earnings Before Interest,Taxes,Depreciation and Amortizationの頭文字であり、支払利息、税金、減価償却費を差し引く前の利益のことです。「イービットディーエー」、「イービットダー」、「エビータ」等と読まれます。
    EBITDA = 税引前利益 + 支払利息 + 減価償却費

    なお、会計的側面からは、国によって異なる税法、金利、会計基準の違い等の影響を比較的排除でき、減価償却費も加えられていることから、キャッシュ面からの収益力をより正しく反映する指標として、また、国際間での収益性比較に使用されることも多い指標でもあります。一方で、会計基準に基づかない指標であること等から、経営破綻したワールドコムがかつて不正に水増し活用した指標であることでも知られています。

  3. 最後に 事業用不動産の収益力を査定する際に有力な指標となるこのEBITDAですが、実際に収益還元法を適用する際には、ホテル、ゴルフ場、ヘルスケア施設等のそれぞれのオペレーショナルアセットの種類によって様々な応用型があります。
    また、特定の事業者を前提とした個別の事業評価としての性格が強く、運営者、事業形態(所有直営、運営委託方式等)、人員構成、ソフト面、ブランド力、部門構成、経営能力等によって同じ物件を使用する場合でもその評価は大きく変わる傾向を有します。

以上