コラム(詳細)

第113回「地価公示」

2014.02/13

経済レポート2466号[平成25年9月24日]掲載

  1. はじめに  地価公示は1年に1回地価を公示するもので、地価公示法に基づき、昭和45年から実施されています。平成24年国土交通省行政事業レビューにおいて「抜本的改善」と指摘されたことを受けて、「地価公示のあり方に関する検討会」が設置・開催されました(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授 浅見泰司 座長)。今回はこの検討会の報告書を基に「地価公示」について少し掘り下げてとりあげます。
  2. 地価公示とは  国土交通省の土地鑑定委員会が、2人の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査・調整のうえ、毎年1月1日時点の1㎡あたりの正常な価格を判定して3月下旬頃に官報で公示(インターネット等でも公表)するものです。
    平成25年地価公示では全国で26,000の地点、広島県では637の地点で実施されました。
  3. 地価公示の役割  地価公示の役割としては、従来から、①一般の土地の取引価格に対する指標、②相続税評価、固定資産税評価の目安、③国土利用計画法による土地の価格の審査の規準、④不動産鑑定士等の鑑定評価の規準、⑤公共用地の取得価格の算定の規準等があげられています。
    特に、課税の評価については、相続税路線価は公示価格の8割程度、固定資産税評価は7割を目途とされています。
  4. 地価公示の現代的意義  この検討会では、地価公示は国民生活の安心を支える重要な制度インフラ(いわゆる「キーストーン」としての性格を有する)と位置づけられており、上記の役割に加えて、取引価格情報の制度的基礎、経済活動・学術研究のための統計データとしての意義も指摘されています。
  5. 最後に  工夫点として、ユーザーニーズや外部有識者意見の反映、マンション用地等の大規模画地への地点設定等があげられており、取組強化の必要性が強調されています。
    なお、最近では英訳版が試行的に開始される等、新たにグローバル化への役割も加わっています。

以上