コラム(詳細)

第123回「スコープ・オブ・ワーク」

2014.12/22

経済レポート2506号[平成26年7月22日]掲載

  1. はじめに  不動産鑑定士が鑑定評価を行うにあたっての統一的な基準である不動産鑑定評価基準及び同運用上の留意事項(以下、単に「基準等」といいます。)が平成26年5月1日に一部改正されました。(改正後の基準等は国土交通省のホームページにもアップされています。)改正後の基準等は平成26年11月1日から施行されます。
    今回は、改正点のうち「スコープ・オブ・ワーク」についてとりあげます。
  2. スコープ・オブ・ワークとは  スコープ・オブ・ワークとは、「合理的な理由のもとで依頼者と合意し、評価の条件や調査範囲、手法の選択を案件ごとに決定する」ことで、今回新たに導入された概念です。(国際評価基準(IVS)では既に導入されています。)
  3. 具体例  このスコープ・オブ・ワークの概念の導入によって、具体的には次の点が変更になっています。
    ・土壌汚染等の特定の価格形成要因について、一定の要件の下で依頼者と合意することにより、不動産鑑定士が実施する調査を合理的な範囲内に限定すること等を可能とする「調査範囲等条件」を新たに導入
    ・鑑定評価手法に関し、原則として「原価方式、比較方式、収益方式の3方式」を併用することを求めている現行の規定について、市場分析により把握した市場の特性を適切に反映した「複数の手法」を適用することを求める規定に変更(手法適用の合理化)
    ・対象確定条件に、宅地造成や建物の建築に係る工事完了前であっても、一定の要件を満たす場合には鑑定評価を可能とする「未竣工建物等鑑定評価」を導入
  4. 最後に  この様に、今回の改正では、新たにスコープ・オブ・ワークの概念を導入することによって、依頼者の多様な評価ニーズに応じた合理的な評価が実現可能となりましたが、一定の要件を満足することも必要です。
    次回は、上記具体例のうち「調査範囲等条件」について詳しくとりあげます。

以上

 

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