コラム(詳細)

第129回「賃貸事業分析法」

2015.06/11

経済レポート2530号[平成27年1月27日]掲載

  1. はじめに  今回の不動産鑑定評価基準の改正(平成26年11月1日施行)により、宅地の新規地代を求める手法として新たに「賃貸事業分析法」が追加されました。これは、具体的には対象地上に建物等の建設を想定し、当該建物及びその敷地に係る賃貸事業に基づく純収益をもとに土地に帰属する部分を査定して宅地の試算賃料を求める方法です。
  2. 家賃から地代を求める  この賃貸事業分析法は、新規家賃から新規地代を求める手法と位置づけられます。平成14年10月東京高裁(淺生重機裁判官)の不動産鑑定士業界に波紋を呼んだ判決、「地上建物の家賃から適正な地代を算出すべきである。(土地残余法に準ずる方法)」とする、「地代の源泉は家賃である」と同じ考え方に立つものですが、判例と異なり、新規地代のみに限定適用(中古建物には適用しない。)等、具体的な適用方法等について、整理・明確化も行われています。
    なお、上記の判例については、その基本的な考え方や分配の方法等について多くの批判もあります。
  3. 計算式のイメージ 
  4. 最後に  この新しく定められた賃貸事業分析法ですが、相場が明らかな家賃からアプローチできる、借地契約の制約を反映しやすいといったメリットもある一方で、査定額がブレやすいといったデメリットもあります。また、積算法や賃貸事例比較法に比べ、一般論としては説得力が劣ることから、比較考量すべきものとされています。

以上

 

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