コラム(詳細)

第140回「事業用不動産の評価(その3)」

2016.05/13

経済レポート2573号[平成27年12月15日]掲載

  1. はじめに  事業用不動産の評価の3回目(最終回)です。今般、改正された不動産鑑定評価基準では、証券化対象不動産の拡大を背景に、宿泊施設、レジャー施設、医療・福祉施設、ショッピングセンター等の商業施設等、当該事業の経営動向に強く影響を受けるオペレーショナルアセット型の不動産を事業用不動産と定義し、その評価方法等を充実化しています。
    今回は、収益還元法の具体的な適用プロセスについて言及します。
  2. 事業用不動産の収益  事業用不動産における収益還元法適用の際の収益の把握の仕方として次の3つがあげられており、いずれかを採用することとなります。
    ①売上高に基づき営業利益ベースで把握
    ②売上高を基に支払賃料等相当額を算定して把握
    ③賃貸市場が成熟している場合に賃貸事例と比較して求めた支払賃料等で把握
  3. 具体例  今般の改正実務指針では②の算定方法について賃貸・運営委託方式を想定し、その適用プロセスを次のとおり整理しています。
  4. 最後に  具体の適用にあたっては、中長期安定的な観点からの分析が重要であることや対象不動産自体のポテンシャル評価であることに留意が必要です。また、対象不動産が現に賃貸借されている場合には、現行の賃料等が相当の期間、安定的に収受可能な水準であるか否か検討することが有用です。
    バブル期における事業用不動産の評価は、積算価格(≒かかったコスト)が中心でしたが、こうしてみると隔世の感があります。ただ、収益還元法を用いて評価することが必ずしもバブル的な要素を完全に排除した評価であるとも言い切れませんのでご留意ください。

以上

 

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