コラム(詳細)

第194回「地価公示50年(その6)」

2020.11/11

経済レポート2788号[令和2年6月9日]掲載

  1. はじめに  地価公示は、昭和45年にスタート。今回は、アーカイブ!バブル絶頂期との比較は文献も多数あることから、初めて「地方の時代」が提言された昭和53年の地価公示で圏域間等の比較を行ってみます
  2. 昭和53年の時代背景 今から42年前の昭和53年は、田中角栄による列島改造ブームがもたらした地価高騰、その後の第1次オイルショックの影響による戦後初のマイナス経済成長と地価下落を経て、バブル経済発生前の安定成長の時期であり、自動車の普及が進んだことや団塊の世代を主な購入層とする第4次マンションブームが起こった時代でもありました
  3. 圏域別、地方別の平均価格 昭和53年と令和2年の地価公示で、圏域別、地方別の平均価格を比べてみると次表のとおりとなりました

    東京圏とこれ以外の価格差(指数)が大きく拡大している。但し、名古屋圏は例外であり、九州・沖縄地方は健闘している。なお、大阪圏の落ち込みが特に目立つ
    昭和53年当時、四国地方は、名古屋圏より高い。(特に、住宅地及び商業地は東京圏、大阪圏に次ぐ第3位であった。)
    昭和53年当時の工業地は、東京圏より大阪圏の方が高かった
    商業地は、多くの地方で、昭和53年当時より下落している
    参考に、東京都、広島県、広島市を載せてみましたが、昭和53年当時、広島の地価がいかに高かったかがわかります。また、東京都の伸びが高いこともみてとれます
  4. 最後に 昭和53年当時(42年前)の大卒初任給は105,500円で、現在は約1.99倍、国内企業物価指数は約1.12倍、消費者物価指数は約1.53倍、金相場はおよそ3.5~4倍となっています。2倍となった広島市の住宅地の地価は、結果として、名目ベースで換算すると利回り的には年利約1.75%(複利)で回ったことになります
    次回は、同様に昭和53年の地価公示を使って、都市間比較を行ってみます
     

以上

 

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