第42回「賃料評価(その11)…評価額の決定」
2007.09/18
経済レポート2176号[平成19年9月18日]掲載
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はじめに
これまでシリーズで継続賃料(賃料を改定する場合の賃料)を求める際の各評価手法について概説してきました。いよいよ最終的な評価額の決定についてとりあげます。評価額の決定にあたっては、通常1つの評価手法だけで評価額を決定することはなく、4つの評価手法を相互に関連づけて決定することが一般的です。この場合、契約の内容等の事項についても総合的に勘案します(総合方式などといわれています)。
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フロー図及び具体例
(例)例えば差額配分法100万円、利回り法80万円、スライド法110万円、賃貸事例比較法90万円と求められ、これを0.1:0.1:0.5:0.3でウェイトづけ(関連づけ)すれば次のとおり評価額は決定されます。
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最後に
最近の最高裁の多くの判例は、「賃料減額請求の当否及び相当賃料額を判断するに当たっては、借地・借家法32条1項所定の諸事情(租税等の負担の増減、土地建物価格の変動その他の経済事情の変動、近傍同種の建物の賃料相場)のほか、賃貸借契約の当事者が賃料額決定の要素とした事情その他諸般の事情を総合的に考慮すべきである。」と判示しています。
具体の関連づけ(評価額の決定)は、極めてケースバイケースで個別な事情にまで踏み込んで評価を行う場合もあり、継続賃料の評価は難しいといわれるゆえんでもあります。
以上