第53回「CRE戦略(その11)…財務指標を用いたCRE評価(固定資産回転率について)」
2008.08/26
経済レポート2221号[平成20年8月26日]掲載
- 固定資産回転率 CRE戦略(企業用不動産戦略)シリーズの第11回目です。今回は、財務指標を用いたCRE戦略のうち「固定資産回転率」についてとりあげます。
固定資産回転率(Fixed Assets Turnover)とは効率性を分析する指標であり次式で表されます。より少ない固定資産でより多くの売上を獲得することが理想ですのでこの固定資産回転率が高ければ高いほど効率のよい企業ということになります。固定資産回転率が低い場合は、ムダな設備や投資がある、あるいはその流動化が遅い可能性が高いといえます。メタボ体質ということでしょうか(笑)。
全業種の固定資産回転率の平均は1~2回程度といわれていますが、一般に製造業では多額の生産設備を必要としますので回転率は低くなり、これに対して販売業では回転率は高くなる傾向があります。なお、不動産業(賃貸業)は、固定資産の運用が主業務ですので回転率はかなり低い水準に止まります。
- CRE戦略で重要な財務指標のまとめ CRE戦略で重要視される財務指標を4回にわたって解説してきました。以下、一覧表にまとめてみました。
名称 式 備考 総資産利益率(ROA)
(Return On Assets)利益÷総資産 企業の総合的な収益性を測定 投下資本利益率(ROIC)
(Return On Investment Capital)税引き後利益÷投下資本 資本コストよりも低い場合には、実質的に含み損の状態である可能性が高い 株価純資産倍率(PBR)
(Price Book Value Ratio)株価÷1株当たり純資産 1倍を下回る状態にあるときは企業買収のターゲットにされやすい
割安株や底値圏を探す指標としても用いられる固定資産回転率
(Fixed Assets Turnover)売上高÷固定資産 効率性を分析する指標
(参考文献)
CRE戦略を実践するためのガイドライン(国土交通省)
企業価値評価(伊藤邦雄著)等
以上