第75回「路線価」
2010.07/27
経済レポート2314号[平成22年7月27日]掲載
7月1日、国税庁は平成22年分全国の土地の路線価を公表しました。この路線価は相続税などの税額算定の基準となるものですが、土地取引にあたっても参考とされるなど関心が高まっています。
「ロセンカバリュー」は既に国際語という話もあります。
- 路線価とは路線価とは、相続税、贈与税の算定基準となる土地価格で、主要な道路に沿って1m2あたりの評価価格が付してあり、市街地のほとんどで路線価図が作成されています。国税庁のホームページ(http://www.rosenka.nta.go.jp)には平成20~22年分の路線価図等が掲載されています。(注)路線価のない地域については、倍率が定められており、固定資産税評価額に倍率を乗じたものが算定基準となります。
- 路線価の価格 路線価の価格は、平成4年より、毎年1月1日現在を基準日として地価公示価格の概ね80%水準で設定されています。したがって、今般公表された平成22年分の路線価は平成22年1月1日時点を基準とする水準となっています。
公表時に、よくマスコミで最新の地価動向とのニュアンスで取り上げられますが、実は、地価公示価格と同時期の価格です。地価公示価格は毎年3月下旬に既に発表されていますので、路線価公表を待たなくても地価公示価格の推移をにらめば、その年の路線価は公表前にある程度の予測は可能です。 - 個別の評価土地は間口の広狭や奥行の長短など様々なため、個々の土地評価は単純に路線価に面積を乗じて求めるのではなく、間口、奥行、地形、権利形態(所有権、借地権等)などに応じた補正(画地調整率)を施して求めます。路線価を使って簡易的に時価を把握したい場合には、上記に加え、最近は不動産市場の多極化(良い物件、悪い物件、見向きもされない物件等)、評価手法の高度化・複雑化等を背景にその価格が個別的に形成される傾向がより強まっていますので、十分に留意してください。また、路線価は地上建物等がない更地としての評価ですから、地上建物がある場合には、その地上建物の状態等をも考慮する必要が生じます。
- 最後に広島の動向等は既に新聞等で大きく取り上げられていますので、ここでは、主要都市の最高路線価の推移についてみてみます。広島の最高地は、平成4年には東京の約30%水準ですが、本年では約8%水準にまで落ち込んでいます。また他都市と比べても、下落率こそ小さいものの価格面でみると仙台に逆転される等見劣りのする結果となっています。
都市 平成4年分 平成10年分 平成14年分 平成17年分 平成22年分 東京 36,500 11,800
(+3.9%)12,000
(+1.4%)15,120
(+9.9%)23,200
(▲25.6%)大阪 26,800 5,800
(▲9.4%)4,080
(▲1.0%)4,160
(+2.0%)7,240
(▲19.9%)福岡 13,200 4,000
(▲13.8%)3,140
(▲0.6%)3,430
(+5.9%)4,590
(▲16.2%)札幌 11,440 3,260
(▲17.5%)1,810
(▲1.6%)1,790
(±0.0%)2,480
(▲10.1%)仙台 9,880 2,810
(▲18.6%)1,770
(▲8.8%)1,370
(▲6.2%)2,050
(▲12.8%)広島 10,720 3,400
(▲15.2%)2,040
(▲10.1%)1,610
(▲4.2%)1,960
(▲7.5%)※単位千円/m2、( )内は対前年変動率
以上