第78回「閑話休題」
2010.10/26
経済レポート2326号[平成22年10月26日]掲載
今回は、閑話休題、次の設問に○×で答えてみてください。
問題1
不動産の現実の取引価格は、取引の必要に応じて個別的に形成されるのが通常であり、個別的な事情に左右されがちなものである。したがって、一般に、現実の取引価格を用いて試算する取引事例比較法の精度は、これらを用いる必要のない収益還元法の精度と比較して劣ることが多い。
問題2
賃貸事務所ビルの1棟全体を一のテナントが賃借していることは、収益の安定化要因となるから、収益還元法の適用上、常に還元利回りを低める要因として考慮しなければならない。
問題3
不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(最有効使用)を前提として把握される価格を標準として形成される。
問題4
会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、事業の継続を前提とした特定価格を求める場合の鑑定評価の方法は、原則として事業経営に基づく純収益のうち不動産に帰属する純収益に基づく収益価格を標準とし、比準価格を比較考量の上、積算価格による検証を行って鑑定評価額を決定する。
問題5
借地権に価格の生ずる原因として、賃料差額とその持続期間を基礎として成り立つ経済的利益の現在価値の存在が挙げられる。したがって、近い将来における現行地代の値上げ改定の実現性が高いことは、借地権の価格を引き上げる要因となる。
〔解答〕
以上は、本年度の不動産鑑定士試験(短答式)からの出題でした。
4問以上の正解で合格レベルでしょうか
問題1…×
精度の優劣は案件ごとに判断される。
あらかじめ決まっているわけではない。
問題2…×
テナントの属性、退去リスク等も考慮する必要があり、常に低めるとはいえない。
問題3…○
最有効使用の原則といわれるものであり正しい。
問題4…○
会社更生法、民事再生法の評価では通常と異なる評価手法を採用するケースがある。
問題5…×
賃料差額が減少する(借得部分が減少する)こととなるため逆である。
以上