第83回「ゴルフ場の評価(その1)」
2011.03/29
経済レポート2346号[平成23年3月29日]掲載
- はじめに
今冬はことのほか積雪が多く各方面で影響があったようです。ゴルフ場もその事業特性等から天候リスクが高い業種といわれています。2回にわたってゴルフ場の評価をとりあげます。
ゴルフ場の評価を行う場合には、「原価法による積算価格」と「収益還元法による収益価格」を求め、両試算価格を調整して評価額を決定することが一般的です。もちろん、他のゴルフ場の取引事例を基に取引事例比較法をも併用することが理想ではありますが、実際には、類似性の高い直近の取引事例が頻繁にあるわけではないことから、適用を断念するケースが多いのが実情です。もっとも、還元利回りの査定や試算価格の調整の過程等で取引価格水準を念頭に検討を加えますので、取引相場を全く無視するものではありません。
- 原価法による積算価格
原価法とは、まず、現時点で再調達することを想定した原価(再調達原価といいます)を求め、次に、これに時の経過等に基づく減価を行って求める手法です。
- 収益還元法による収益価格
収益還元法には、DCF法を採用するケース、収益の捉え方等種々のバリエーションがありますが、一般的には、ある程度安定的な事業収支(EBITDA)をベースに算出する方法が用いられます。
- 最後に
以上により求められた2つの試算価格を検討・調整して最終的な評価額を決定することとなりますが、両価格には大きな開差が生じることがあります。最終的な評価額の決定方法は次回でとりあげます。
以上