コラム(詳細)

第93回「収益還元法(その9)」

2012.01/31

経済レポート2386号[平成24年1月31日]掲載

  • 収益還元法シリーズの9回目です。これまで設例で「直接還元法」と「DCF法」をとり上げました。今回は少し応用編として「有期還元法」による収益価格を試みてみます。

    設例

  • 【解答】

    「5年間は賃収に基づく純収益を毎年100受取り、5年後に建物取壊費用と立退料を負担して更地化する」とのシナリオですから、次式が成り立ち、その収益価格は1691と求められます。

    設例

  • 複利年金現価率は、「一定の額を毎年積み立てて一定の利回りで複利運用することを想定し、その運用が終わった場合の総額の現在価値を示す率です」。複利現価率は、「将来価値を現在価値に割り戻す率です」。つまり本件では、「5年間純収益を積み立てて6%で複利運用し5年後に受取る総額の現在価値」と「5年後に実現する更地価格から更地化に要する費用を控除した額の現在価値」を合計したものといえます。

  • (補足)

    上記の外にも、複利年金現価率の代わりに畜積利回り等を基礎とした償還基金率と割引率とを用いる方法(ホスコルド式)もあります。なお、ホスコルド式は鉱業権の評価で適用されることもあります。

以上