第95回「固定資産税評価」
2012.03/27
経済レポート2394号[平成24年3月27日]掲載
- はじめに
本年度は3年ごとの固定資産税の評価替えの年にあたります。固定資産税の評価額は国が定めた「固定資産評価基準」に基づいて市町村が決定します。毎年評価替えを行うことが理想的ではありますが膨大な量の評価を毎年行うことは事実上、不可能であること等から、土地と家屋については原則として3年間評価額を据え置く制度がとられています。たまたまですが、和暦の3の倍数の年、平成24年、平成27年、平成30年…が評価替えの実施される年にあたります。
- 宅地の固定資産税評価
宅地についてその特微的な事柄等を掲げれば次のとおりです。
- ①地上に建物が建っていたり貸地であっても、建物等の定着物がなく、権利関係もないことを前提として評価しています(更地としての評価)。
- ②平成6年の評価替えから地価公示価格の7割を目途に均衡化・適正化が図られています(これに対して、相続税の路線価は地価公示価格の8割を目途としています)。
- ③対象地の間口・奥行等の状態に係る補正も行っています(これに対して、相続税の路線価は補正を行う前の一般的な評価を前提としています)。
- ④3年に1回の評価替え(3年間据え置き)ですが、この間でも地価の下落が認められる場合には下落の修正が行われる可能性があります。逆に上昇した場合には上昇の修正は行われません(相続税の路線価は毎年評価替えが行われます)。
- 建物の固定資産税評価
基本的には、再建築費を基準として経過年数に応じた減価を考慮してその家屋の価格を求めます。まれに、建物がかなり古くなっているのに評価額が下がらないといった趣旨のご質問をお受けすることがありますが、固定資産税評価の場合、減価の下限(最終残価率)が2割となっていることから、下限にまで達した家屋(木造戸建で25年等)は、何年たってもこれ以上減価率は下がりません。
なお、相続税の評価は、固定資産税評価額に対して1.0倍して評価します。ですから、同額となります。
- マンションの固定資産税評価
通常、マンションの購入時には、階層(最上階か1階か等)、間取り、日当たり等に応じて、同じマンション内でも各室ごとに値段が異なりますが、固定資産税の評価では、同じマンション内であれば単位面積当たりの評価額は同一となっています。
- 最後に
固定資産税の評価額を基に負担軽減措置等を行って課税の基礎となる課税標準額が算出されますが、実務上、「評価額」と「課税標準額」が混同して用いられることが多くあります。注意が必要です。
以上