第111回「土地取得時の届出」
2013.12/10
経済レポート2458号[平成25年7月23日]掲載
- はじめに 平成24年4月1日から森林の土地を取得した場合に届出が必要となる制度がスタートしています。今回は「土地取得時の届出」についてとりあげます。
- 国土利用計画法 「届出」というと国土利用計画法に基づく届出が有名です。これは、市街化区域では2,000㎡以上、その他の都市計画区域では5,000㎡以上、都市計画区域外では10,000㎡以上の土地の売買等をしたときには、都道府県知事(政令市は市長)に対して事後の届出が必要となる制度です。
かつて、バブル期には、地価の抑制のため、多くの地域で、「監視区域制度」が導入され、その届出必要面積も100㎡にまで引き下げられました。しかも、当時は事後ではなく事前届出制(売買契約前届出)であり、売買価格や利用目的について審査が行われていました。当時、この網にかからない100㎡を少し切った土地がやたら高額で取引されることが多かったと記憶しています。
現在では、土地の取引は専ら事後届出制であり、取引価格についての勧告も行われないことから、届出制度の有無が土地価格に与える影響はほとんどないといえます。 - 農地について 農地(採草放牧地)については、売買、賃借を行う場合にはあらかじめ農業委員会の許可が必要です(相続については許可不要でした)。これが、農地法の改正により、平成21年12月1日以降、相続した際の農業委員会への事後届出が義務づけられています。
- 森林について 森林についても、平成24年4月1日以降、森林法の改正により、森林の土地の所有権の移転は、売買、相続、贈与、遺贈、法人の分割や合併などの移転の事由を問わず、市町村長への事後届出が必要となっています。面積基準はありませんので小さくても必要です。なお、上記の国土利用計画法に基づく届出を提出している場合には届出不要です。
- 最後に これらは、事後届出制ですから、今のところ、所有者や取引価格への制限等を目的とするものではありません。ある推計によれば農地所有者の40人に1人程度、森林所有者の20人に1人程度は、その所在を掴めていないと見込まれています。今般の改正は、所有者の把握を進めるための方策とされています。
以上