第126回「相続と不動産(その2)」
2015.03/16
経済レポート2519号[平成26年10月28日]掲載
- はじめに 前回、①平成27年から相続増税となること、②相続財産は不動産が最も多く過半を占めること、③相続対策とは税に関する対策と争族を避けるための対策とが必要なこと、④不動産の最大の弱点は、価格がわかりにくいこと、流動性(キャッシュ化)に劣ること、分配(分割)しにくいことであり、相続対策上もこれらが大きなネックとなることに触れ、価格がわかりにくいことについて詳しくとり上げました。
今回は、流動性(キャッシュ化)に劣ることについて詳しくとり上げます。 - 流動性(キャッシュ化) 不動産は通常売りに出してキャッシュ化するまでに、速くても3~5ヶ月、物件によっては1年以上も時間がかかることもあります。株式等、速やかにキャッシュ化できる財産に比べて流動性(キャッシュ化)に劣る資産といわれる所以です。
また、急いで売却しようとすると、不動産の売買にはある程度交渉ごとの側面もあることから、買い叩かれるケースもあります。不動産市況が上昇しているときはまだしも、特に市況が停滞期にあって難のある物件については一層適切な価格での早期の売却は困難性が高くなります。 - 相続対策 この様にもともと流動性(キャッシュ化)に劣る不動産ですから、日頃から、万一や相続対策に備えて、準備をしておくことが大切です。一度は、点検の意味も含めて、次の様な保有不動産のチェック(たな卸し)を行うことをお奨めします。
・法務局の登記記録、公図、図面等のチェック
・法務局の登記記録等と現況が一致しているか
・境界確認
・賃貸借等がある場合は、契約書の再確認、相手方の状況等
・用途地域や都市計画道路の予定等(役場で確認)
・立地環境の変動予測
・固定資産税評価額、相続税評価額、実勢価格の把握
・建物のリニューアルや修繕計画等 - 最後に 特に境界が不明な場合や登記名義が何代も前の先祖名義のままで放置されているケースでは、時間や費用がかかることが多いので、事前にはっきりとさせておくことに越したことはありません。
また、地積の小さい土地は、隣地所有者への購入を打診してみる、底地(借地権が付いている貸地)については借地人に買い取ってもらう等、難のある物件についてはより高値での売却可能性を模索しながら、日頃から長期的目線での売却活動を行っておくことが賢明です。
以上
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