第130回「建物の価格形成要因」
2015.07/15
経済レポート2534号[平成27年2月24日]掲載
- はじめに 平成26年11月1日から施行された改正不動産鑑定評価基準では、「スクラップ&ビルド型からストック型社会の進展への対応」として建物の評価に関する規定が充実・見直しされています。そこで今回はこのうち「建物の価格形成要因」についてとりあげます。
- 建物の価格形成要因 建物の状況に応じた精緻な評価が実施できるよう、次の切り口で建物の価格形成要因を充実させています。
・防災意識の高まりや省エネルギー対応の動き等を踏まえた見直し
・建物の用途(住宅、事務所、店舗等)に応じた整備 - 建物の個別的要因 個々の建物の価格形成要因(個別的要因といいます。)は多岐に渡りますが、このうち特に留意すべき項目として次のものが例示されています。
1 住宅
屋根、外壁、基礎、床、内装、間取り、台所・浴室・便所等の給排水設備・衛生設備の状況等、日本住宅性能表示基準による性能表示、長期優良住宅建築等計画等
2 事務所ビル
基準階床面積、天井高、床荷重、情報通信対応設備・空調設備・電気設備等の状況、共用施設の状態等
3 商業施設
各階の床面積、天井高、売場面積、客動線、商品の搬入動線、防災設備の状況、バリアフリー化の状況、立地・規模等に関する法令等
4 物流施設
階数、各階の床面積、天井高、柱間隔、床荷重、空調設備、エレベーター、リフト、保管機能、配送等の設備、自走式車路の有無等
5 共通する要因
設計・設備等の機能性、建物の性能(特に耐震基準、耐震診断の結果)、維持管理の状態、有害な物質の使用の有無及びその状態、公法上・私法上の規制、制約等 - 最後に 以上の項目は、評価上だけではなく、購入等にあたってのチェックポイントでもあります。
また、建物は、嗜好性、特殊性、文化性等が強いものも多く、筆者の場合、価値判断にあたっては、汎用性の程度、キャッシュフロー(採算性)、周辺環境との適合性、市場ニーズも大きなファクターであると感じています。
以上
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