第131回「建物と敷地の価格形成要因」
2015.08/19
経済レポート2538号[平成27年3月24日]掲載
- はじめに 平成26年11月1日から施行された改正不動産鑑定評価基準では、「スクラップ&ビルド型からストック型社会の進展への対応」として建物の評価に関する規定が充実・見直しされています。前回は「建物の価格形成要因」をとりあげました。今回は「建物と敷地に関する個別的要因」についてとりあげます。
- 建物とその敷地(複合不動産)の評価 日本では、土地と建物は別々の不動産の取扱いとなっています。(登記も別々になされます。)しかし、評価にあたっては、土地と建物を独立のものとして別々に評価したものを、単純に合計することは基本的にはありません。土地と建物を一体の不動産として捉える評価を複合不動産の評価といいます。
単純合計と大きな相違が生じる原因としては建物の状態があげられます。例えば、建物の老朽化が著しい、場違いな建物が建築されている等のケースでは、最有効使用や市場参加者の取引行動等からみて、状況によっては建物の取壊しを前提とした評価が行われることもあります。この場合は、更地価格から建物取壊費用を控除したものが、土地・建物一体としての評価額となります。 - 建物とその敷地の個別的要因 評価にあたって留意すべき個別的要因として次のものが例示されています。
1 建物等と敷地との適応の状態
敷地内における建物、駐車場、通路、庭等の配置、建物と敷地の規模の対応関係等2 修繕計画及び管理計画の良否並びにその実施の状態
大規模修繕に係る修繕計画の有無及び修繕履歴の内容、管理規則の有無、管理委託先、管理サービスの内容等3 賃貸用不動産については賃貸経営管理の良否
(1)賃借人の状況及び賃貸借契約の内容
(2)貸室の稼働状況
(3)躯体・設備・内装等の資産区分及び修繕費用等の負担区分
以上
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