コラム(詳細)

第132回「未竣工建物等」

2015.09/14

経済レポート2543号[平成27年4月28日・5月5日]掲載

  1. はじめに  平成26年11月1日から施行された改正不動産鑑定評価基準では、「スクラップ&ビルド型からストック型社会の進展への対応」として建物の評価に関する規定が充実・見直しされています。そこで今回はこのうち新設された「未竣工建物等」についてとりあげます。
    なお、これは、完成前の建物等について評価が実施可能となる取扱いであり、スコープ・オブ・ワーク概念の導入による画期的な改正ともえいます。
  2. 未竣工建物等の対象  未竣工建物等鑑定評価とは、造成中又は造成予定の土地や、建築(増改築や大修繕工事を含む。)中又は建築予定の建物について、価格時点において工事が完了していることを前提として行う条件の鑑定評価のことをいい、着工していないものも対象となります。
  3. 評価が実施可能な要件  このように、実際には存在していないものを出来上がり後の状態を想定して評価を行うこととなりますので、実施にあたっては必要な要件が定められています。

    1 鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないこと。
    2 設計図書等の物的確認のための詳細な資料や請負契約書等の権利の態様の確認のための資料があること。
    3 実現性及び合法性の観点から妥当であること。
    (1)実現性とは、発注者の資金調達能力や請負業者の施工能力等の観点から工事完成の確実性が認められること等
    (2)合法性とは、建築確認や開発許可等を取得していること(修繕工事等で法令上許認可が必要でない場合は除く。)、公法上及び私法上の諸規制に反しないこと等

  4. 最後に  この改正が行われた背景は、国際評価基準では建築中の投資用不動産が評価対象として想定されていること、工事完了を想定した価格を知ることに有用性が認められること等が指摘されています。但し、現物出資のための鑑定評価には対応できない取扱いとなっています。

以上

 

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