第135回「原価法 その2(付帯費用)」
2015.12/11
経済レポート2555号[平成27年7月28日]掲載
- はじめに 平成26年11月1日から施行された改正不動産鑑定評価基準では、原価法に係る規定が充実・見直しされています。そこで前回からシリーズで原価法をとりあげています。今回は「付帯費用」についてです。
- 再調達原価を求める方法 例えば建物の再調達原価を求める場合、「建設請負により、請負者が発注者に対して直ちに使用可能な状態で引き渡す通常の場合を想定し、発注者が請負者に対して支払う標準的な建設費に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して求めるものとする。」とされています。
今回の改正では、この付帯費用の具体的な内容を明確化しました。 - 付帯費用とは 具体的な内容については次のとおり整理されています。
(1)土地の付帯費用
公益施設負担金、開発申請諸経費等
(2)建物の付帯費用
設計監理料、建築確認申請費用、登記費用等
(3)その他土地建物の付帯費用
・建物引渡しまでの資金調達費用(借入金利及び自己資本に対する配当率)
・発注者の開発リクス相当額
・発注者利益(開発者利益・機会費用)
・分譲住宅・マンション等の販売費、広告宣伝費
・土地の公租公課、地代(開発期間中の固定資産税・都市計画税(借地の
場合は地代)相当額)
・貸家及びその敷地の評価において賃貸中の不動産としての再調達原価を
求める場合のテナント募集費用 - 最後に 今回、整理された付帯費用ですが、建物引渡しまでの期間に対応するコストが含まれるとする期間概念が導入されたことに加え、開発リスク相当額や発注者利益等が明記されたことは特筆すべきことといえます。
以上
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