第159回「利回りとDSCR」
2017.12/11
経済レポート2649号[平成29年7月18日]掲載
- はじめに 最近、不動産投資や相続税対策を目的としたアパート建設等が増えている様です。そこで、今回は、抑えておきたい代表的な収益計算式である「利回り」と「DSCR(借入償還余裕率)」の2つをとりあげます。
- 利回り 利回り〇%の収益物件といった表現をよくみかけますが、ひとくちに利回りといっても、家賃収入に対する表面利回りなのか?運営費用をどこまで控除している利回りなのか?によって大きな差が生じますし、混乱しているというのが現状です。
表面利回りとは、満室を想定した場合の賃料を対象不動産の価格で割って求めるもので、最も高く求められます。一方で、賃料から経費を控除して求められるNOI(Net Operating Income)を、対象不動産の価格で割ったものを純利回りといいます。
※一般論的には、利回りが高い方が収益力のある物件といえますが、近々、大規模修繕が必要な物件等ではその支出も考慮する等、総合的な判断が求められます。 - DSCR(借入償還余裕率) DSCRとはDebt Service Coverage Ratioの略で、借入金返済の余裕度(安全性)を見る指標であり、返済能力を示すものです。
上式のとおり、物件が上げるNOIが借入金返済額の何倍になるのかを表すもので大きいほど余裕があります。当然ですが1以下では返済できない事態となります。状況にもよりますが、1.2以上が求められるところです。 - 最後に 代表的な指標をとりあげましたが、投資にあたっては、人口の増減等の将来予測、ストレス事象(収入の減少、金利上昇等)、融資期間、自己資金と借入金比率、さらにはキャピタルゲイン期待(元本価格の上昇期待)等はもとより、税務上の観点からの検討も求められるところです。
以上
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