第158回「競売市場修正率の見直し」
2017.11/14
経済レポート2645号[平成29年6月20日]掲載
- はじめに 裁判所で行われる不動産競売では、「売却基準価額は評価人の評価額をもとに裁判所が定める。買受可能価額は売却基準価額の10分の8の価格であり、買受けの申出額(入札額)は買受可能価額以上でなければならない。」取扱いとなっています。
また、評価人は、評価において「強制競売の手続において不動産の売却を実施するための評価であることを考慮しなければならない」とされています。これは競売不動産特有のマイナス要因を減価すべきことを意味しており、この減価を「競売市場修正」といいます。 - 競売不動産特有のマイナス要因とは 個々の不動産固有の要因ではなく、民事執行法により売却に付されることに伴う制度上のマイナス要因としては、一般に次のものが例示されています。
・売主の協力が得られないことが常態であること
・内覧制度によるほかは買受希望者は物件内部の確認が直接できないこと
・引渡しを受けるために法定の手続をとらなければならない場合があること
・瑕疵担保責任がないこと - 競売市場修正率の見直し では、この競売市場修正は具体的にはどの様な修正率が使われているのでしょうか。この修正率は常に一定ではなく、また、市場の動向や地域性、執行裁判所等によっても異なり、適宜見直しも行われています。
例えば、新民事執行実務No.15の「東京地方裁判所(本庁)における平成28年の民事執行事件の概要」によると、管轄区域内の市場の動向および最近の競売市場の需要の動向を考慮して、東京23区内の物件については種類を問わず、平成29年3月1日以降、従来の▲30%から▲20%に変更するとしています。 - 最後に 競売については、時間がかかる、二束三文で売られている等の風評もいまだにある様ですが、手続の透明性が確保されていることはもとより、近年は時代に即して適正迅速化がなされていると同時に、競り売りのため意外と高く売れるとの評もあるようです。
以上
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