第190回「地価公示50年(その2)」
2020.07/13
経済レポート2773号[令和2年2月18日]掲載
- はじめに 地価公示は、一般の土地の取引価格に対して指標を与えるなどし、もって適正な地価の形成に寄与することを目的として、昭和45年にスタート。平成31年には50回を迎えました。令和2年3月には第51回目の地価公示の発表が予定されています。
そこで、前回から、シリーズで地価公示をとり上げています。今回は、「地価公示の評価の流れ」を解説します。 - 地価公示鑑定評価員 まず、地価公示業務を担う地価公示鑑定評価員の委嘱は、4月上旬に希望者からの申請を受けて6月に国土交通省土地鑑定委員会が決定し、翌年の3月31日までが委嘱期間となります。
応募の要件としては、不動産鑑定士または不動産鑑定士補の登録を受けている者であって、例えば、令和2年地価公示における新規に応募するケースですと、3年間、不動産鑑定業務に従事し、かつ、鑑定評価を各年において3件以上実施している者であること、65歳未満であること等の要件が求められています。(但し、これ以外の要件や例外もありますのでご留意願います。…詳細は国土交通省のHPで公開されています。)
平成31年地価公示では、全国で2,418人(広島県では57人)が委嘱されており、全国26,000地点(広島県では639地点)で実施されています。(ちなみに、東京都は334人、2,602地点です。) - 地価公示の評価の流れ 6月に委嘱が決定されると、地価公示鑑定評価員は、翌年1月中旬の鑑定評価書の提出をピークに3月31日までの間、ほぼ切れ目無く作業が続くこととなります。具体のフローチャートは次のとおりですが、分科会方式をとっており、広島県は県内3つの分科会で組成されています。
<評価の流れ>
鑑定評価員が現地を調査(点検)します。また、法務局や役所等に足を運び調査します。地域は常に変化していますので、地点の追加や変更をする場合もあります。 ↓
多数の取引事例や賃貸事例等を収集調査し、また地価に影響する地域の情報も日頃から収集します。不動産業者へのヒアリング、公的機関公表の資料、新聞記事も重要な情報となります。
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地域ごとに細分された分科会を数回開催し、価格の動向や地域間のバランスを検討します。その後は、各都道府県内の会議、各ブロック(東北地方などの区割)会議など、さらに広域的なバランス検討を行っています。
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1つの地点に対して2人の鑑定評価員が地点の特徴に応じた手法(原価法、取引事例比較法、収益還元法など)を用いて評価を行います。
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鑑定評価書を作成して、土地鑑定委員会に提出します。
出典…公益社団法人 日本不動産鑑定士協会連合会(令和元年11月)「Q&Aでわかる地価公示の見方・活かし方」但し、筆者が一部加筆等しています。
以上
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(不動産鑑定士)
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