第195回「地価公示50年(その7)」
2020.12/10
経済レポート2794号[令和2年7月21日]掲載
- はじめに 地価公示は、昭和45年にスタート。今回は、アーカイブ!バブル絶頂期との比較は文献も多数あることから、初めて「地方の時代」が提言された昭和53年の地価公示で都市間の比較を行ってみます。
- 昭和53年の時代背景 今から42年前の昭和53年は、田中角栄による列島改造ブームがもたらした地価高騰、その後の第一次オイルショックの影響による戦後初のマイナス経済成長と地価下落を経て、バブル経済発生前の安定成長の時期であり、自動車の普及が進んだことや団塊の世代を主な購入層とする第4次マンションブームが起こった時代でもありました。
- 都市間比較等 昭和53年と令和2年の地価公示で、住宅地の平均価格、商業地の最高価格を比べてみると次表のとおりとなりました。紙面の関係でコメントは差し控えますが、商業地の最高価格は特徴のある結果となっています。
- 最後に 紆余曲折を経た地価も42年間で、広島市は住宅地約2倍、商業地約1.5倍、商業地の最高地点は約2倍となっています。(東京都は住宅地約4倍、商業地約5倍、銀座の最高地点は約12倍です。)ちなみに、大卒初任給は1.99倍、国内企業物価指数は1.12倍、消費者物価指数は1.53倍、金相場はおよそ3.5~4倍です。
平成27年フランス人経済学者ピケティは、大ベストセラーとなったその著書「21世紀の資本」で、歴史的な検証の結果、資本収益率(r)がほぼ一貫して、4~5%で推移してきたのに対して、経済成長率(g)は最大でも4%未満、平均で1.6%であり、rがgを常に上回る「r>gの不等式」を実証したとし、格差の拡大や、その処方箋等についても言及しました。
約2倍となった広島市の住宅地の地価は、結果として、名目ベースで換算すると元本は利回り的には年利約1.75%(複利)でまわったこととなります。(なお、広島市商業地は約1%、東京都住宅地約3.25%、東京都商業地約4%、銀座の最高地点約6.25%です。)
以上
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