第219回「気候変動リスク」
2022.12/19
経済レポート2891号[令和4年7月26日]掲載
- はじめに 前回、ESG、SDGs、持続可能性(サステナビリティ)といった世界的潮流、非財務情報の開示、新しい企業価値、ソフトロー、ハードロー、名ばかりのESG、ESGの不動産価格への反映について言及しました。今回は非財務情報の開示のうち、注目度の高い「気候変動リスク」をとり上げます。
- 気候変動リスク
自然災害や気候変動といった課題に直面するなかで、気候変動によるリスクと機会を整理する対応力が求められています。こうしたなか、主要国の金融当局で構成され、国際的な金融システムの安定を目的とする組織である金融安定理事会は気候変動リスクに対応するために「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」という組織を設置し、平成29年6月に開示基準の提言を行い、企業の気候変動への取組み等に関する開示を促しています。現在、TCFDには32名のメンバーのうち日本からは2名が参加しています。
このTCFD提言は開示にあたって4つの軸を打出していますが、そのなかでリスクについては「物理的リスク」と「移行リスク」の2つに大別して整理しています。
【4つの軸】
ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標
【リスク要因】 - 最後に
環境の激変によって価値が大きく毀損する資産のことを「座礁資産」といいますが、上記の様なリスクによって、保有する資産が座礁資産化することやダイベストメント(資金の引きあげ)にあう可能性も考えられます。一方で、リスクの裏には機会があるともいえます。
次回は、国土交通省が、不動産業が対応を行うための参考として策定した【不動産分野における「気候関連財務情報開示タスクフォースの提言」対応のためのガイダンス】をとり上げます。
以上
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