コラム(詳細)

第222回「災害ハザードエリア」

2023.03/16

経済レポート2903号[令和4年10月18日]掲載

  1. はじめに  頻発・激甚化する自然災害に対応するため、災害ハザードエリアにおける開発抑制を内容とする都市計画法の改正があり、令和4年4月1日から施行されています。具体例としては、「災害レッドゾーンにおける自己業務用施設(店舗、オフィス、工場等)の開発の原則禁止」、「市街化調整区域における災害イエローゾーンの開発許可の厳格化」等があげられます。
     そこで、今回は、災害ハザードエリアをとり上げます。
  2. 災害ハザードエリア
     都市計画法施行令により、災害ハザードエリアとは次の区域となっています。
  3. 逆線引
     今般、開発基準が厳しくなった災害ハザードエリアですが、その外にも、立地適正化計画の居住誘導区域から災害レッドゾーンを原則除外とすること等も行われています。また、当然ですが、個々の法律に基づいた本来的な規制もあります。なお、今回の改正では、市街化調整区域内の災害レッドゾーンに存する建築物等が、従前と同一の用途で市街化区調整域内の災害レッドゾーン外に移転する場合、建築等を許可できる特例も新設されています。
     こうしたなか、最近、特に注目されているのは「逆線引」です。この逆線引とは、市街化区域内の土砂災害特別警戒区域を市街化調整区域に編入することで、広島県においては実施に向けて、取組方針が示されており、既に諸準備が進行中です。(現時点では編入されている区域はありません)。
  4. 最後に
     災害ハザードエリアの区域か否かは、不動産価格に与える影響が大きく、その指定状況(範囲)や法改正も逐次行われるため、移行リスクが高い価格形成要因ともいえます。筆者も評価にあたっては、最も気を使います。
     以上の法改正は、安全なまちづくりに資するものですが、一方で、居心地が良く歩きたくなるまちなかの創出、都市インフラの老朽化対策等、魅力的なまちづくりに資する法改正も同時に実施されています 
     
    (用語の説明)
    ・市街化区域…既に市街地を形成している区域、概ね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域
    ・市街化調整区域…市街化を抑制すべき区域

以上

 

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