第223回「路線価でみる広島の地価(その1)」
2023.04/12
経済レポート2906号[令和4年11月15日]掲載
- はじめに 国税局では、相続税等の申告の便宜や課税の公平を図る観点から、毎年、土地等の評価額の基準となる路線価を定めて、国税庁ホームページで公開しています。なお、この路線価は、毎年、1月1日を評価時点として、地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に定められています。
路線価が開始されたのは、昭和30年であり、67年が経過しています。今回からシリーズでこの路線価を使って地価を振りかえってみます。 - 現在と最古の最高価格地点
現在の広島の最高価格地点は、胡町 相生通り 福屋百貨店前の3,290千円/㎡(対前年変動率+3.5%)です。確認できる文献で最古の最高価格地点は、昭和34年の堀川町 とらや菓子店前の76千円/㎡でした。現在、とらや菓子店は廃業していますが、今でいうパルコ前(本通りと金座街の交差点)にあったと思われます。福屋百貨店は昭和13年には既に開業していましたので意外な感じを受けました。
現在の路線価は、平成4年から、地価公示価格の80%水準に引上げられていますので、30~50%水準にあった当時との単純比較はできませんが、その評価額は63年間で約43倍にもなっています。(なお、当時が40%とすると約22倍となります。)
- 最高価格地点の変遷
最高価格地点は、とらや菓子店前から、少なくとも、昭和52年には福屋百貨店前となり、平成8年に基町広島そごう前に移り、その後再び平成27年に福屋百貨店前に戻り現在に至っています。平成8年に広島そごう前にトップ地が移ったのは、そごう新館、リーガロイヤルホテル、アストラムラインの開業等の影響と思われます。
最新である令和4年の路線価は、福屋百貨店前3,290円/㎡、広島そごう前3,120円/㎡と約5%程度の開差となっています。再開発等の動きもあり、今後の動向が注目されるところです。 - 最高価格の推移
広島の最高価格は次のとおり推移しており、現在の地価は昭和60年台前半ないし、平成10年頃の価格水準となっています。次回は、都市間比較に言及します。
・昭和61年・・・・バブル発生前
・平成 4年・・・・バブルピークで、過去最高値
・平成17年・・・・バブル崩壊後で、過去最低値
・平成20年・・・・平成ミニバブルの最高値
・平成25年・・・・リーマンショック後の底値
・令和 2年・・・・コロナ前の最高値
・令和 3年・・・・コロナ禍によるマイナス
(参考文献)
鈴木文彦「路線価でひもとく街の歴史」ファイナンス2021年8月号
以上
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