コラム(詳細)

第30回「土地と面積(単価と総額)」

2006.09/26

経済レポート2129号[平成18年9月26日]掲載

  1. 単価と総額

     1匹100円のサンマを5匹買います。全部でいくらになりますか?単価に数量を掛けあわせて総額を500円と求めます。

    100円
    (単価)
    × 5匹(数量) = 500円(総額)

     
    では100匹ではどうでしょう。買い手としては一度に沢山買うのであるから割引して欲しい、売り手としても一度に沢山買ってもらえるのであれば販売コスト等も安くつくので購入数量に応じて割引してもよいと考えます(数量割引といいます)。また、一度に100匹も購入する人はプロ(卸売業者や仕入等)なので当然に採算性を考えて安く購入しようとします。この様な様々な交渉過程を経て購入代金は決定されることから、結果的にサンマ1匹当たりの単価は100円を下回ることになります。

    100円
    (単価)
    × 5匹(数量) ≠ 500円(総額)

     不動産の場合も、一口に坪当たりいくらという言い方がよくされますが、数量や総額に応じて単価は変動します。さらに面積の大小によって最有効使用が異なる等の質的変化が起こる場合もあります。単価一点ではなく、面積、総額、質的要素さらにはマーケット動向等をも総合的に勘案することが求められます。こうした単価を総額の視点から検討することを専門用語では「単価と総額との関連の適否」といいます。不動産の評価は価格(単価)を求めるのではなく価額(総額)で行うものであるといわれる所以です。

  2. 具体例

     郊外の住宅地をイメージしてみて下さい。A地(150m2)を12万円/m2とします。B地(300m2)C地(800m2)D地(100m2)の評価はいくらか?
    具体例の図

    A地は、12万円/m2×150m2=1,800万円。建物を合わせても―3,000万円でマイホームが手に入ります。
    B地は、300m2ですから仮に12万円/m2を掛けると3,600万円。
    土地代だけで3,600万円ですから、さらにこれに建物が加わると手が出ない値段になります。土地代だけで3,600万円出せる人はもっと中心部に土地を求めます。B地はかなり値を下げてエンドユーザーに売却するか、それでも売れない場合は、点線の様に2分割して分譲することを計画する不動産業者の採算性に見合った価格(分筆費用、不整形になることによるマイナス、業者利潤等を控除)で売却することになります。
    C地の場合は、もはや戸建住宅利用を目的とするエンドユーザーに売却することは困難であり、点線の様に道路を入れる必要も考慮された不動産業者の採算性に見合った価格になります(ただし、C地がマンション適地の場合には話は別です)。
    逆に、規模の小さいD地はどうでしょうか?A地に比べ使い勝手が悪いし見劣りするから12万円より安くなるとの考えもありますが、総額が低く止まることから、値ごろ感がでてかえってエンドユーザーが手を出しやすくなり、結果的に単価が上昇することもあります。いわゆる小口割高といわれる現象です。

以上