コラム(詳細)

第77回「運営純収益(NOI)」

2010.09/28

経済レポート2322号[平成22年9月28日]掲載

  1. はじめに

    利回り○%の収益物件といった表現をよくみかけますが、ひとくちに利回りといっても、家賃収入に対する表面利回りなのか?運営費用をどこまで控除している利回りなのか?によって大きな差が生じますし、混乱しているというのが現状です。
    不動産鑑定評価基準の上では、物件ごとの比較が容易なように収益費用項目を統一化しており、特に証券化される不動産については、この項目に則って算出することが義務づけられています。

    そこで今回はこのうち運営純収益(NOI)についてとり上げます。

  2. 運営純収益(NOI)

    運営純収益とは、運営収益から運営費用を控除したもので不動産賃貸事業により経常的に得られるキャッシュを意味し、よくNOI(Net Operating Income)と略されます。

    項目は次のとおりですが、借入金の返済、減価償却費等は含まれません。

    A運営収益 [1] 貸室賃料収入(満室想定)
    [2] 共益費収入(満室想定)
    [3] 水道光熱費収入(満室想定)
    [4] 駐車場収入
    [5] その他収入(看板等の設備設置料等)
    [6] 空室等損失(発生予測に基づく減少分)
    B運営費用 [8]維持管理費
    [9] 水道光熱費
    [10] 修繕費(経常的に要する費用)
    [11] プロパティマネジメントフィー
    [12] テナント募集費用等(仲介業務や広告宣伝等)
    [13] 公租公課
    [14] 損害保険料
    C運営純収益(NOI) (A-B)
  3. 最後に(純収益)  以上により運営純収益(NOI)が計算されますが、最終的には、これに「一時金の運用益」を加算し、「資産計上される大規模修繕費等の資本的支出」を控除して、最終的な純収益を求めることとなります。

以上