コラム(詳細)

第84回「ゴルフ場の評価(その2)」

2011.04/26

経済レポート2350号[平成23年4月26日]掲載

  1. はじめに

    前回、ゴルフ場の評価手法について触れました。復習ですが、「ゴルフ場の評価を行う場合には、「原価法による積算価格」と「収益還元法による収益価格」を求め、両試算価格を調整して評価額を決定することが一般的であり、他のゴルフ場の取引事例を基に取引事例比較法をも併用することが理想ですが、実際には、類似性の高い直近の取引事例が頻繁にあるわけではないことから、適用を断念するケースが多いのが実情ではあるものの、還元利回りの査定や試算価格の調整の過程等で取引価格水準を念頭に検討を加えることから、取引相場を全く無視するということではない。」ということでした。

    フロー図

  2. 評価額の決定

    評価手法の適用により、積算価格と収益価格が求められますが、両試算価格には大きな開差が発生することがあります。預託金返済問題もないバブルの時代には、新規に造成することを前提に算出されている積算価格を中心に、場合によっては、ゴルフ会員権の発行余力をも勘案のうえ評価額を決定するケースがほとんどであったと思われます。ところが、バブル崩壊後は、ゴルフ場の購入者は経営目的・投資目的として値付けを行うことから、収益価格を中心とした(収益価格を重視した)評価決定に転換しているのが現状です。

  3. 最後に

    事業収支が赤字のゴルフ場はどうなるのでしょうか(評価は0円か)?一義的には現状のオペレーションによる収支が赤字であっても、ゴルフ場は経営マネジメントへの依存度が高い業種であることから、ゴルフ場運営方法の見直しによる収支再検討や追加投資による収益改善策等を検討することとなります。
    以上がゴルフ場の評価ですが、ホテルや日本旅館等の評価についても同様な手法が用いられるのが一般的です。

以上