コラム(詳細)

第102回「工場抵当と3条目録」

2013.03/21

経済レポート2422号[平成24年10月23日]掲載

  1. はじめに  前回、工場抵当法による工場財団をとりあげました。これは、土地、建物、構築物、機械器具類等を財団組成することにより、法律上一個の不動産とみなす制度でした。
    ところが、実際は、大きな工場を除いて財団組成されることは極めて稀であり、財団組成されないまま、土地と建物だけを担保に提供しているのが圧倒的多数の工場であるのが現状です。
    この場合、工場内の機械器具類はどうなるのでしょうか?今回はこのケースについてとりあげます。
  2. 狭義の工場抵当  「工場財団」を組成することなく、工場に抵当権を設定した場合、原則として、備え付けた機械器具類に抵当権は及ぶと認められています(工場抵当法2条)。これを一般に「狭義の工場抵当」といいます(これに対して財団組成されている場合は「工場財団抵当」といいます)。
    したがって、備え付けられた機械器具類については工場財団を組成した場合でもしなかった場合でも抵当権の効力が及んでいるという点では異なりませんが、工場財団の場合、工業所有権やダム使用権も組成対象にできる等、組成の範囲を広くできることが特徴です。
  3. 3条目録  工場抵当法3条は、抵当権の効力の及んでいる機械器具類の目録の提出を義務づけています。この目録を「3条目録」といい、第三者に対する対抗要件となっています。
    ちなみに、この3条目録は、登記事項証明書には添付されません。別途、3条目録自体を請求する必要があります。つい見落してしまうことがあるので、工場の登記簿を取得する際には注意が必要です。
  4. 最後に  工場が民事執行法の競売となった場合です。3条目録は前述のとおり第三者に対する対抗要件ですから、3条目録があってもなくても、工場に備え付けられた機械器具類は特約で除外した物やリース物件等一定のものを除いて評価の対象となります。
    不動産の抵当権の順位と3条目録登記の順位が異なるケースがありますが、この場合機械器具類に対する優先権は抵当権の順位ではなく、3条目録の順位によります。この様に3条目録があってもなくても評価はされますが、3条目録の順位や目録の有無、また目録はあっても記録されていない機械器具類がある場合等、それぞれに応じて配当の方法が違ってきますので、担保力の把握にあたっては留意が必要です。
    なお、平成17年10月3日から、動産譲渡登記制度の運用が開始され、近時、機械設備や在庫商品等の動産を担保とした新しい資金調達手法(ABL)も注目されています。

以上