コラム(詳細)

第108回「不動産鑑定評価基準の見直し」

2013.09/11

経済レポート2446号[平成25年4月23日]掲載

  1. はじめに  不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を行う場合、「不動産鑑定評価基準(以下、単に基準といいます)」に則って行われることが原則です(例外的に、調査報告書等と称して、いわゆる簡易的な調査で行われることもあります)。この基準は、国土交通省事務次官通知であり、不動産鑑定士にとっては評価の統一的な基準です。これまで、不動産市場の変化に対応して、累次の改正が行われてきました。直近の全面的な改正は平成14年と既に10年が経過していることや現下の不動産市場等を踏まえ、近々全面的な見直しが行われる予定です。
    今のところ、平成24年6月に基準の見直しの方向性が示され、これを受けてワーキングチームでの議論を踏まえ、平成24年12月に中間報告が行われている段階です。
  2. 中間報告  この中間報告では、次の9つの論点が示されています。
    ・不動産鑑定評価基準へのスコープ・オブ・ワークの概念の導入
    スコープ・オブ・ワークとは、合理的な理由のもとで依頼者と合意し、評価の
    条件や、調査範囲・手法の選択を案件毎に決定することです。
    ・価格の概念のIVS(国際評価基準)との整合性の向上
    「正常価格」の概念の再整理、「特定価格」として求められる範囲の拡大
    ・海外投資不動産鑑定評価ガイドラインの見直し
    ・事業用不動産に係る規定の充実
    ・中古住宅等に係る消費者の新たな評価ニーズへの対応
    ・建物評価に係る規定の追加・見直し
    ・定期借地権に係る規定の充実
    ・継続賃料の評価に係る規定の見直し
    ・求める価格に幅を持たせた収益還元法適用のあり方の整理
  3. 最後に  これらは、「不動産市場の国際化への対応」、「多様な評価ニーズへの対応」、「個別の評価手法等の見直し」からなりますが、一定の幅を持たせて収益還元法を適用する考え方が示されているなど、今のところ画期的かつ大幅な改正内容となっています。
    今後は、正式な改定案の作成、パブリックコメント等の所要の手続を経て、年内にも改正が行われる予定となっています。

以上