コラム(詳細)

第148回「農地の鑑定評価」

2017.01/10

経済レポート2605号[平成28年8月23日]掲載

  1. はじめに  平成28年5月に国土審議会土地政策分科会企画部会が公表した「土地政策の新たな方向性2016「素案」(以下素案といいます)」によると、土地・不動産活用のための鑑定評価の充実策の1つとして農地の鑑定評価を掲げています。
       意外に思われるかもしれませんが、不動産の鑑定評価に農地は含まれていないのです。今回はこの素案を基に農地の鑑定評価についてとりあげます。
  2. 現在の制度   不動産の鑑定評価に関する法律は次のとおり規定しています。

       したがって、農地を農地として取引する場合の評価は、現行の制度では、不動産の鑑定評価に含まれない状態となっています。(農地を農地以外のものにする場合は除きます。)
       これは、昭和38年の法制定時には、農地を農地として取引する場合の価格は総じて安定的であり、宅地価格のような高騰や混乱はみられなかったことが背景としてあるようです。

  3. 今後の方向性    この素案では、農地の評価が不動産の鑑定評価に含まれていないことから、現状は、農地の評価基準が存在しないという不正常な状態にあり、鑑定士の評価にバラツキが生じれば、依頼者にも損害が及びかねず、さらに、鑑定士・鑑定業者の訴訟リスクも懸念されるとし、「統一的な鑑定評価基準の策定」や「国による鑑定士への適切な指導・監督」が求められるとしています。
  4. 最後に  近年、農地についても様々な評価ニーズが高まっており、今後は農地の大区画化・汎用化も見込まれること等から、客観的な農地の評価基準作成のための調査・研究が求められています。1日も早い制定が待たれるところです。
       なお、不動産鑑定士協会連合会では平成29年3月には実務指針をとりまとめることが予定されています。

以上

 

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