コラム(詳細)

第218回「ESG不動産投資」

2022.11/15

経済レポート2886号[令和4年6月21日]掲載

  1. はじめに  近年、ESG、SDGs、持続可能性(サステナビリティ)といったテーマが世界的な潮流となり、今やほとんどの企業がESG経営を目標に掲げ、その情報を開示する企業も拡大しています。これらは「非財務情報の開示」といういわれ方をしており、今後は単なる財務情報だけでなく、ESGといった非財務情報を加味したものが新しい企業価値を構築する方向性にあるともいえます。
  2. ESGとは
     ところで、そもそもESGとは、「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(ガバナンス)」の頭文字をとったもので、経営や投資判断においてESGを考慮することで、持続可能な社会の実現や長期的な利益の創出につながるとするものです。また、SDGsが掲げる17の目標ともからみあっています
     なお、ESGに関しては、そのほとんどが実は法的拘束力がなく、いわゆる「ソフトロー」の状態にあります。(一方、法的拘束力がある場合を「ハードロー」といいます。)
  3. SDGsとは
     SDGsとは、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)のことで、日本を含めた世界全体の目標であり、17の目標、169のターゲットから構成されています。経済、社会及び環境の三側面を不可分なものとして調和させ、持続可能な世界を実現するための統合的取組です。
     例えば、森林に関するものとしては、目標15に「陸の豊かさも守ろう」と掲げられていることに加え、このほかの目標においても森林に関係する項目がみられます。日本において国土の3分の2を占める森林はその多面的機能が期待されています。
  4. 最後に
     不動産の鑑定評価の分野においても、ESG不動産投資の不動産価格への反映が大きなテーマとなっており、研究も進んでいます。ESGに配慮した不動産には経済的プレミアムが発生するのか、賃料が高くなるのか、その利回りは等々……。また、LEED、CASBEE等様々な認証制度も誕生しています。
     なお、最近では、この様な流れにのっとってESGを冠してはいるものの、実態がともなっていない「名ばかりESG」が増えているとの指摘もあります
     次回は、今、最も注目されている気候変動リスクに係る非財務情報の開示をとり上げます。

以上

 

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