コラム(詳細)

第224回「路線価でみる広島の地価(その2)」

2023.05/22

経済レポート2911号[令和4年12月20日]掲載

  1. はじめに  前回、国税庁が公表している路線価で、広島の最高価格地点をとり上げました。今回は、日本の最高価格地点との比較で広島の地価を振りかえってみます。
  2. 日本の最高価格地点
     現在の日本の最高価格地点は、東京 銀座五丁目 銀座中央通り 鳩居堂前の42,240千円/㎡(対前年変動率▲1.1%)です。路線価が開始された昭和30年も同所の鳩居堂前であり、確認できる最古の価格としては、昭和34年の393千円/㎡でした
     現在の路線価は、平成4年から、地価公示価格の80%水準に引上げられていますので、30~50%水準にあった当時との単純比較はできませんが、その評価額は63年間で約107倍にもなっています。(なお、当時が40%とすると約54倍となります。)
     ちなみに、それ以前は、江戸の中心であった日本橋が、最高価格地点と思われ、昭和のはじめ頃に銀座が日本橋を上回ったのではないかと推測されています。
  3. 最高価格地点の変遷
     日本の最高価格地点は、その後、少なくとも、昭和52年には新宿三丁目 新宿通り タカノフルーツパーラー前となり、昭和61年に鳩居堂前に戻り、現在に至っています。
     最新の令和4年の路線価は、鳩居堂前が42,240千円/㎡で37年連続してトップ。一方で、タカノフルーツパーラー前は29,520千円/㎡と、現在では大きな開差が生じています。
  4. 最高価格の推移
     節目における最高価格の推移は次のとおりです。東京対広島の価格差は、昭和52年の40.2%をピークに現在では7.8%にまで落ち込んでいます。また、東京銀座の最高価格は持ち直しバブル越えしていることもわかります。ただ、平成4年のバブル期は日本のトップは世界でもトップ水準でしたが、現在の価格はバブル越えにもかかわらず、国際的にみて、まだまだ割安感のある水準に止まっています。




    (備考)
    ・昭和61年・・・・バブル発生前時
    ・平成 4年・・・・バブルピーク時
    ・平成17年・・・・バブル崩壊後底値時
    ・平成20年・・・・平成ミニバブルのピーク時
    ・平成25年・・・・リーマンショック後の底値時
    ・令和 2年・・・・コロナ前の最高値
    ・令和 3年・・・・コロナ禍によるマイナス 

    (参考文献)
    鈴木文彦「路線価でひもとく街の歴史」 財務省ファイナンス

以上

 

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