コラム(詳細)

第225回「路線価でみる広島の地価(その3)」

2023.06/20

経済レポート2915号[令和5年1月31日]掲載

  1. はじめに  シリーズで、国税庁が公表している路線価でみる広島の地価をとりあげています。前回、前々回と広島と東京の価格差が拡大していること、東京銀座の価格は持ち直しバブル期越えをしていること(但し、バブル期の東京の価格は世界でもトップ水準でしたが、現在はバブル期越えにもかかわらず、国際的にはまだまだ割安感のある水準に止まっていること)等広島と東京の最高価格地点を中心に触れました
     今回は、都市間比較に言及します。
  2. 都道府県庁所在都市における価格順位
    (1)広島の順位
     以下の数字は、都道府県庁所在都市の最高路線価における広島の順位です。確認できる最古のデータである昭和34年当時9位、その後の変遷は不明ですが、昭和52年で4位。以降、徐々に順位を落としていき、近年は、仙台とトップテン争いを繰り返していましたが、直近では、令和3年に10年振りに仙台に抜かれてトップテン外となっています

     なお、昭和52年の4位は、東京、大阪、横浜に次ぐもので、おどろきでした。現在4位の名古屋は、意外にも当時は7位でした。

    (2)他都市の順位
     長期的にみた場合、大きく順位を上げているのは、さいたま、那覇、奈良であり、一方、目立って順位を下げているのは、岐阜、新潟あたりとなっています。

    (3)バブル期越え
     バブル期越えは東京(銀座)のみ(平成4年36,500千円/㎡→令和4年42,240千円/㎡(+15.7%))ですが、横浜が目前にまで迫っています。(平成4年18,040千円/㎡→令和4年16,560千円/㎡)

    (4)最低価格との比較

     最高価格と最低価格は次表のとおりであり、価格差が大きく拡大していることも着目すべき点です。
  3. 最後に
     国税庁が公表している路線価(主に最高価格)を使って、広島の地価(ポジション)をシリーズで振りかえってみました。この間、所得や物価の環境も大きく変化しており、最近では「安いニッポン」などともいわれています。一方で、東京等ではマンション価格が高騰している状況下にもあります。購入者にとっては、低金利の恩恵は大きく、住宅ローンを組むことを想定して返済金額を計算(合計)すると、バブル期の4千万円の物件が今の1億円に相当するとの試算もあります。(同じ返済金額でバブル期の2.5倍の物件が購入できる算段です。)


    (参考文献)
    鈴木文彦「路線価でひもとく街の歴史」 財務省ファイナンス

以上

 

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